風さそう花よりもなほ我はまた春の名残をいかにとかせん|浅野内匠頭の辞世の句

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「風さそう花よりもなほ我はまた春の名残をいかにとかせん」の意味は?

赤穂浪士で知られる浅野内匠頭の辞世の句ですがどんな意味が込められているんでしょうか?最後の「いかにとやせんの「とやせん」とは?

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風さそう花よりもなほ我はまた春の名残をいかにとかせん|浅野内匠頭の辞世の句

「風誘う 花よりもなお 我はまた 春の名残を いかにとやせん」

意味は、

風にさそわれて散る花も名残おしいだろうが、この春に名残惜しさを感じてしまう私は、もはやどうすればよいのだろうか。

といったところでしょう。

「いかにとやせん」を分析すれば、「いかに」は「如何に」で「どのように」という意味。

「と」は接続助詞。

「や」は詠嘆・反語の係助詞。

「せ」はサ変動詞「為(す)」の未然形。

「ん」は「む」の変形で推量を表す助動詞です。

以上から、「いかにとやせん」とは「どう(どのように)しようか、どうしようもないなあ」という意味での解釈で良さそうです。

ちなみに、浅野内匠頭の辞世の句「風さそう花よりもなほ我はまた春の名残をいかにとかせん」は幕府の目付であった多門(おかど)伝八郎のメモ「多門筆記」という史料に出てくるもので、内匠頭自身の直筆が残っているわけではないようです。

浅野内匠頭が刃傷沙汰に及んでから切腹にいたる時間がかなり短かったこともあり、他人による創作の可能性もあるとみられています。赤穂藩浅野家の記録にも内匠頭の辞世の句は無いそうです。

なんせ、お昼頃に刃傷沙汰が発生してから、当日の夕方6時頃の即日切腹です。

多門伝八郎は目付として内匠頭を取り調べた人ですが、元々内匠頭に好意的であったようです。

後に内匠頭切腹の時にも、検死役の副使を命ぜられ、正使の庄田下総守が将軍綱吉の意向通り、内匠頭を庭先で切腹させようとしたのに対し、強硬に反対したようです。
(結局、庭先で切腹させられてしまうのですが、このことはさすがに後に問題になり、正使の庄田下総守は罷免されています。

まとめ:風さそう花よりもなほ我はまた春の名残をいかにとかせん|浅野内匠頭の辞世の句

浅野内匠頭の辞世の句

「風さそふ 花よりもなほ 我はまた春の名残を いかにとやせん」

この句の中の「春の名残」は吉良を殺すことができなかったことの無念さを表しているとも言われます。

そうなると、浅野はどうやって吉良が死なずに済んだことを知ったのかが疑問となってきますが田村右京大夫の邸宅に預けられ切腹に到る過程で、吉良上野介の状態を聞く事は事実上無理です。

田村家側とて、罪人であるとはいえ、死に行く人間に本懐を遂げられなかったと教える事もなさそうです。

そもそも、切腹までの短時間の中で田村家側が吉良上野介の容態を知っていたかも怪しいものがあります。

大名では有り得ない庭先での切腹という事も加味し、実際は辞世の句を詠む暇すら与えられないまま切腹させられた可能性はありそうです。

『忠臣蔵』(ちくま新書)の著作がある野口武彦氏は、明言していませんが、幕府目付の多門伝八郎の偽作の可能性が高いことを匂わせています(同著p43)。

ちなみに、赤穂浪士の辞世の句は確認できる範囲で次のようになっています。

名前 戒名 辞世の句
大石内蔵助良雄 忠誠院刃空浄剣居士 あら楽し 思いははるる 身は捨つる 浮世の月に かかる雲なし
吉田忠左衛門兼亮 刃仲光剣信士 君がため 思ひぞ積もる 白雪を 散らすは今朝の 嶺の松風  
原惣右衛門元辰 刃峰毛剣信士 かねてより 君と母とに 知らせんと 人より急ぐ 死出の山路 
片岡源五衛門高房 刃勘要剣信士 –
間瀬久太夫正明 刃誉道剣信士 雪とけて 心に叶ふ あした哉
小野寺十内秀和 刃以串剣信士 忘れめや 百に余れる 年を経て 事へし代々の 君がなさけを
間喜兵衛光延 刃泉如剣信士 草枕 むすび仮寝の 夢さめて 常世にかえる 春のあけぼの
磯貝十郎左衛門正久 刃周求剣信士 若水の 心そむかぬ 影もりかな
堀部弥兵衛金丸 刃毛知剣信士 忠孝に 命をたつは 武士の道 やたけ心の 名をのこしてん
近松勘六行重 刃随露剣信士 –
冨森助右衛門正因 刃勇相剣信士 先立ちし 人もありけりけふの日を 旅の旅路の 思ひ出にして
潮田又之丞高教 刃窓空剣信士 もののふの 道とばかりに 一筋に 思いたちぬる 死出の旅路
早水藤左衛門満尭 刃破了剣信士 地水火風 空のうちより いでし身の たどりて帰る 本の住家に
赤埴源蔵重賢 刃広忠剣信士 –
奥田孫太夫重盛 刃察周剣信士 –
矢田五郎右衛門助武 刃法参剣信士 –
大石瀬左衛門信清 刃寛徳剣信士 –
大石主税良金 刃上樹剣信士 あふ時は かたりつくすと 思へども 別れとなれば のこる言の葉
堀部安兵衛武庸 刃雲輝剣信士 梓弓 ためしにも引け 武士の 道は迷はぬ 跡と思はば
中村勘助正辰 刃露白剣信士 –
菅谷半之丞政利 刃水流剣信士 –
不破数右衛門正種 刃観祖剣信士 –
千馬三郎兵衛光忠 刃道互剣信士 –
木村岡右衛門貞行 刃通普剣信士 思いきや われ武士の 道ならで かかる御法の 縁にあうとは
岡野金右衛門包秀 刃回逸剣信士 その匂い 雪の下の 野梅かな
貝賀弥左衛門友信 刃電石剣信士 –
大高源五忠雄 刃無一剣信士 梅で香む 茶屋もあるべし 死出の山
岡嶋八十右衛門常樹 刃袖払剣信士 –
吉田沢右衛門兼貞 刃当掛剣信士 –
武林唯七隆重 刃性春剣信士 仕合や 死出の山路は 花ざかり
倉橋伝助武幸 刃?V練剣信士 –
間新六郎光風 刃模唯剣信士 思草 茂れる野辺の 旅枕 仮寝の夢は 結ばざりしを
村松喜兵衛秀直 刃有梅剣信士 命にも 易えるひとつを 失わば 逃げ隠れても 此れを遁れん
杉野十平次次房 刃可仁剣信士 –
勝田新左衛門武尭 刃量霞剣信士 –
前原伊助宗房 刃補天剣信士 春来んと さしもしらじな 年月の ふりゆくものは 人の白髪
小野寺幸右衛門秀富 刃風颯剣信士 今朝も はやいふ言の葉も なかりけり なにのためとて 露むすぶらん
間十次郎光興 刃沢蔵剣信士 終にその 待つにぞ露の 玉の緒の けふ絶えて行く 死出の山道
奥田貞右衛門行高 刃湫跳剣信士 –
矢頭右衛門七教兼 刃擲振剣信士 –
村松三太夫高直 刃清元剣信士 極楽を 断りなしに 通らばや 弥陀諸共に 四十八人
間瀬孫九郎正辰 刃太及剣信士 –
茅野和助常成 刃響機剣信士 天地の 外にあらじな 千種だに もと咲く野辺に 枯ると思へば
横川勘平宗俊 刃常水剣信士 まてしばし 死出の遅速は あらんとも まつさきかけて 道しるべせむ
三村次郎左衛門包常 刃珊瑚剣信士 –
神崎与五郎則休 刃利教剣信士 梓弓 春近ければ 小手の上の 花をも雪の ふぶきとや見ん

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