走れメロス最後の意味|5行でなぜ赤面?

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『走れメロス』の最後の5行はなぜあるのでしょうか?

最後の場面に
「一人の少女が、緋のマントをメロスにささげた。~勇者はひどく赤面した。」

とありますが、なぜそのような場面があるのでしょうか?

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走れメロス最後の意味|5行でなぜ赤面?

『走れメロス』の最後の5行

「一人の少女が、緋のマントをメロスにささげた。~勇者はひどく赤面した。」

とありますが、学校では色々なことを難無くしてきたメロスも普通に恥ずかしがる普通の人だったということを伝えたかったと教わるのが一般的です。

「勇者」はメロスですが、同時にメロスを全裸体に設定した作者太宰の「照れ」でもあります。

緋のマントをメロスに捧げた娘が実はメロスに恋焦がれていることを、セリヌンティウスに教えられて照れたという意味もあるでしょう。

古代の緋色はケルメスとコチニールという極めて貴重な染料を用いましたので「緋色のマント」は、俗界では皇帝の、宗教界では枢機卿の象徴でした。このマントは王のもので、これを着ることで王と対等の友人になったということもあるかと思います。

暴君ディオニスは人を信じる事が出来ない、苦しんでいる孤独人です。蛇足ですが、ディオニスのモデルは太宰自身です。太宰著『人間失格』を読むと分かります。

まとめ:走れメロス最後の意味|5行でなぜ赤面?

『走れメロス』で少女がマントを渡したのは「太宰の照れ隠し」というのが通説となっています。

この作品は最後の「万歳、王様万歳」で終わっています。しかし太宰はあえて少女のマント部分を追記しました。

それはメロスが裸である事をそのまま放置出来ずに、何らかの処置をしたかったのです。

当時太宰は人間への不信感や違和感で満ちあふれていました。そしてシラー著『人質』を読んで、自分の現状を脱出したい理想像を『走れメロス』として結晶しました。国王は太宰ですが、メロスは太宰の夢です。そのメロスが裸のままで終わらせるのには、強い抵抗があったのだと思います。

それからマントの色ですが、文章中に書かれている事を転記します。

「真紅の心臓をお目に掛けたい。愛と信実の血液だけで動いているこの心臓を見せてやりたい」

緋色のマントとは、メロスの偽りのない「愛と真実の血液」そのものかもしれません。

物語全体で「正義」にまつわるものが赤系の色で表されています。

友との約束を果たし、暴君ディオニスの心を変えた(ちなみに、心が変わったディオニスも正義の一員となり、顔をあからめています)メロスは正義の象徴であり、緋(≒赤)のマントを纏う必要があるのです。

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