空から降る一億の星(ドラマ)あらすじネタバレ

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ドラマ「空から降る一億の星」は木村拓哉さん明石家さんまさん、深津絵里さんが出演したドラマ

予想外のバッドエンドを迎え韓国版にリメイクもされましたがドラマ「空から降る一億の星」のあらすじネタバレ

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空から降る一億の星(ドラマ)第1話のあらすじネタバレ

車の助手席で煙草をふかしながら男が地図で道を調べていた。トントン、窓を女が叩いた。「完ちゃん!上!大沢課長が来たの!」同僚の女性が男を呼びに来たのだった。「ちょっと今日用事あんねんけど・・・」とぼやきつつ、急かされながらかったるそうに男は歩き出す。周りでは人だかりができ、パトカーが激しく行き交っていた。

男は堂島完三(明石家さんま)。日ノ出警察署の刑事。女は同僚刑事で、杉田琴子(森下愛子)。二人の向かった現場は、マンションの一室、そこの住人である女子大生三鷹啓子が転落死したのである。現場検証は続く中、「おれ、帰るわ。」と後輩刑事に言い残して、完三は現場を後にした。

その頃、ある豪華客船内。西原財閥の一人娘、美羽(井川遥)のバースデーパーティーのための準備が着々と進んでいた。パーティー用の追加の材料を、フランス料理店『レーブ』の見習いコック片瀬涼(木村拓也)が運ぶことになった。食材を『八百善』で仕入れ、『八百善』の息子である向井裕希(金子貴俊)の運転で桟橋へ向かった。裕希は、美羽への興味から無理矢理付いてきたのである。車が止まった信号が青に変わったが、前の車が動かない。前の車では完三が道に迷って地図を見ていて、信号が変わったことに気が付かなかった。裕希がクラクションをならし、完三の車を追い越しざまに、完三と助手席の涼の目が合い、しばし見つめ合う。

完三の妹、堂島優子(深津絵里)は、船内でパーティーにしていくのアクセサリ選びをする美羽につきあっていた。ゴージャスなアクセサリで決めた最後に、それらとは不釣り合いなブレスレットをバックから取り出して美羽は付けようとする。「これっ!?」優子は止めようとするが、完三がパーティーに来ることを確認した上で、美羽はあえてブレスレットをする。それは、完三からもらったものなのである。

涼の車が桟橋へ到着し、食材を調理場へ運ぶ。涼は、パーティー会場への料理の配膳を手伝わされる。
途中、デッキでチェストを運ぼうとしている老婆、カヨ(宮内順子)を見かけ、それを手伝いを買って出る。

美羽の船室。ドレスを着て支度を全て終え、緊張のために部屋を出ることをためらっている美羽に、優子は最上級の誉め言葉で美羽の美しさを誉め、「お誕生日おめでと!」と言って、送り出す。

パーティー会場。完三が、パーティ主催者である美羽の父がスピーチする中到着する。招待客の中に優子を捜すが見つからない。

デッキ。カヨの話を聞くと、カヨは美羽が小さな頃から西原家に勤める家政婦であった。そこで涼はカヨへ、せっかくの晴れ姿を見るためにパーティー会場へ行くようへ勧め、チェストは自分がどこかへ運ぶことを約束する。

パーティー会場。美羽が父に手を引かれて入場し、柏木(大澄賢也)の音頭で乾杯し、パーティーが始まる。

美羽の船室。パーティーに行かずに優子は船室に残っていた。そこへ、チェストの置き場を探して涼がやってきた。涼は、「なぜ、パーティーへ行かないの?」と優子に尋ね、「苦手だからよ。」と答えると、「じゃあ、ここで二人でパーティーする?」と提案する。そのとき優子の携帯が鳴る。「お兄ちゃん!」それは完三からの電話だった。優子は、先約の彼氏から連絡が来たから、としどろもどろに嘘をついて涼の提案を拒否し、涼は「そ。」っとあっさり部屋を出ていく。ドキドキしながら優子がその姿を見送ると、すぐに涼が戻ってきた。優子のすぐ目の前に立ち、意味ありげに見つめて「さっきお兄ちゃんて言わなかった?」と尋ねる。ぼう然とうなずく優子。そんな優子を、涼は無表情のままさらに見つめ、部屋を出てチェストの置き場を探しはじめる。

デッキ。完三は優子からタキシードをもらって着替える。「お兄ちゃん、美羽の結婚相手として立候補したら?」という優子に、完三は「俺と美羽ちゃんじゃ、月とすっぽんどころかどぶネズミくらいやなー。」と謙遜するが、優子は「そうだよねー。」と流してしまった。

メインデッキでは、ダンスパーティーが始まっていた。柏木に言い寄られて逃げる美羽の姿を、隅から涼が見つめていた。チェストを置いておいた厨房の脇へ涼が戻ると、そこには疲れて居眠りをするカヨの姿があった。カヨの脇に腰を下ろす涼。すると、チェストの脇の扉をノックする音がする。涼が無言でいると扉を開けようとするが、チェストに邪魔をされて10cm程度しか開かなかった。その隙間からカヨを捜す美羽の声が聞こえた。急いでカヨを起こす涼。美羽は、パーティーのごちそうよりもカヨのおむすびの方がいいから、おむすびを握ってくれと頼みに来たのだった。それを横で聞いて思わずほほえむ涼だった。
おむすびを握るために厨房へ消えるカヨ。美羽はそば通る人を気にしながら、カヨを急かすように扉の隙間から手をのばす。その手を涼がつかんだ。「だれ!?」と驚く美羽に、「まだ会ってない。でも、声は今聞いた。」となぞなぞのような回答をする涼。扉越しの会話は、美羽の姿を見つけた柏木によって邪魔され、美羽は逃げるようにその場を去った。扉を閉めながら、美羽の手を握っていた手を見つめる涼。

パーティー会場。完三と優子は自分たちが浮いていると感じていた。そんな気後れを吹き飛ばす香のように、完三はナンパをはじめる。

美羽は柏木を避けて船内を移動するが、ついに捕まってしまう。誕生日プレゼントの指輪を渡して二人切りになりたいと、いやがる美羽に迫る柏木。そこに涼が通りがかる。「それ、恥ずかしがってるんじゃなくていやがってるんじゃないですか?」いさめる涼に対して、柏木は「こんなところでウロウロしてないで下がっててくれないかな?」とシッシと払う仕草をする。そこへ、パーティーのシャンパンを拝借してきた裕希が現れた。「なんだ、今度は泥棒さんか?見逃してやるから早く消えろ!このチンピラ!」とさらにののしる柏木に、裕希が殴りかかり、そのあおりを食らって美羽が倒れ、その拍子にブレスレットの糸が切れてしまった。騒ぎを聞きつけて完三が現場へ行き、「警察や!」と叫び混乱するその場は収まった。
美羽の父も現れ、「ちょっとしたチンピラの喧嘩ですよ。」と説明する柏木に再び熱くなる裕希。しかし、涼が裕希をいさめお詫びをする。その姿を見てハッとし、涼と目が合う、完三と優子。涼は階段を下り立ち去った。

美羽を気遣い、このあと始まる花火に美羽を誘う完三。しかし、美羽は後から行くと言って、壊れて散らばってしまったブレスレットのパーツを拾い集める。階下にまで散らばった分を拾いに階段を下りていくと、そこにはパーツを拾い集める涼の姿があった。柏木がこの騒ぎの後、美羽より美羽の父の方に行ってしまったことを指摘する涼に対して、「あの人が好きなのは父のお金だから、私より父が大切なの、」と美羽は説明する。集めたパーツで涼はブレスレットを直す。直したブレスレットを手に寄ってくる涼に押されるように階段に座り込んでしまった美羽の腕に、涼はブレスレットをはめてあげる。ちょうどそのとき、最初の花火があがる。美羽は、花火をよく見ようと急に立ち上がり、ドレスの裾を分でよろけてしまう。それを涼が抱き留めた。その腕の感触で、「やっぱりあなただ!さっきのあなたでしょ?」と尋ねる美羽。「おれ、ただのコックだし」ととぼける涼に、「同じ声。わすれない。」とさらに言い切る美羽。涼はその場を逃げ出すが、美羽は追いかけて、「私でがっかりした?」と聞く。涼は、美羽は綺麗すぎるし、自分はこんなだし、と引け目を感じていることを話す。そんなことは関係ないと美羽は言い、二人は花火をバックに見つめ合いキスをした。

翌日。いつもの朝。完三にたたき起こされる優子。優子は、寝坊のため完三の作った朝食もほとんど食べる暇がないが、完三の勧める見合いをする気がないことだけは釘を差して出社する。妹の行く末を心配する完三だった。

日ノ出警察署。昨日の女子大生殺人事件の捜査会議が開かれていた。遅刻してきた完三に、杉田琴子が捜査の推移を説明。被害者のテレビの前あたりの床から血痕が出てきたので、鑑識の結果を考えあわせると、被害者は部屋で殺害された後、落とされたと判断される。被害者の部屋で生前撮った友人との写真を見せ、被害者の隣にいる交際相手、大熊敬吾(村田充)が現在連絡が取れないということだった。

マリーナでお茶を飲む美羽。そこに、待ち合わせ相手の涼が現れるが、裕希も一緒だった。この間の騒ぎについて謝る裕希。涼は、「こんな顔だけど、いいところもあって、おふくろさんの入院費をこいつが全部出してるんだ。」と裕希をかばう。その話に同情する美羽に、裕希はいろいろ苦労話を話す。その話をうち切るかのように、涼は話題を変える。

おでん屋で一杯飲む、完三と琴子。完三は優子が見合いをいやがることをぼやく。優子が結婚しなければ完三は結婚する気がないんだよね?と、確認する琴子に、「父親代わりやさかいなぁ。」と完三は答える。それに対して琴子は、「優子ちゃんも同じだと思うよ。優子ちゃんは優子ちゃんで、お兄ちゃん一人にして結婚できないと思っていると思うよ。」と完三を諭す。

涼と美羽のデート。涼は美羽の家の前まで送ってきた。美羽は、この間のことは船の上だけの遠い夢のような気がしていたから、また誘ってもらえてとてもうれしかったと素直な気持ちを語った。涼は、そうしたくなかったから、勇気を出して誘ったんだと、素直に返した。二人は握手をして別れた。

被害者の女子大生の部屋。完三は再び現場を訪れ、部屋の写真を撮っていた。

美羽の部屋。涼に直してもらったブレスレットをしようとして、ふと何かに気付く美羽。昔のアルバムを取り出し、ブレスレットの写真と涼に直してもらったブレスレットを比較する。すると、何も知らずに涼が直したはずブレスレットは、飾りが全てまったく元の通りに直されていたのだった。
不審に感じた美羽は、お見舞いの花束を持って『八百善』に裕希を尋ねる。すると、裕希は不在で、裕希の父親が対応してくれ、母親はピンピンしており入院していない事を知る。さらに涼への不信感が強まる美羽であった。

2度目の涼と美羽のデート。海辺の砂浜に車を止めて話をする二人。涼への不信感から一日様子がおかしい美羽を心配する涼。美羽はカマを掛けるために、裕希の母の入院費の足しに、と言ってお金を封筒に入れて渡す。涼が悪びれず受け取ろうと手を伸ばした瞬間、美羽は手を離して札を風にばらまいてしまう。「お金が欲しかったんでしょう?私をだましたんでしょう?」と泣きながら責める美羽をみて、涼は「ごめん、これはゲームだったんだよ。君がこんなに簡単に引っかかるとは思わなかったんだ。」と説明する。泣きやまない美羽を車に残して、涼は車から降りた。

刑事課。完三は、被害者が生前友人と部屋で撮ったものと、自分で事件後に撮ったものを比較していた。その中で、ビデオラックのビデオがきちんと同じ順番に並んでいることに完三は疑問を持ったのだった。犯人と被害者が争ってビデオラックは倒された形跡があるのに、ビデオが全く元通りに並べられているのはどういうことか?琴子は、容疑者が交際していた男だから、ビデオの順番を知っていてもおかしくないし、これは偶然じゃない?と答えるが、完三は引っかかるものを感じていた。

車のワイパーに挟まれて風にはためく一万円札。涼は美羽がまいた一万円札を拾い集めたのだった。結局30万円のうち、27万円だけ見つかった。「三万、今度会ったとき返すよ。あ、ごめん、今度なんてないか。」という涼に向かって、「ねえ、どこからどこまでがゲームなの?」と問う美羽。涼は、「もうゲームは終わりでしょ?」と言ってほほえんだ。それを聞いた美羽は、とまどったようなほっとしたような表情でほほえんだ。

刑事課。「偶然なぁ・・・」完三は一人でまだビデオの順番について考えていた。

美羽は、ブレスレットのビーズの順番もすべて合っていたのがなぜかと涼に尋ねる。「偶然だよ。」涼は笑って答え、美羽を背中から抱き寄せた。抱き寄せられてほほえむ美羽の後ろで、涼は真剣な顔で空を見つめていた。

空から降る一億の星(ドラマ)第2話のあらすじネタバレ

あるフレンチレストラン。堂島完三(明石家さんま)・優子(深津絵里)兄妹と、その見合い相手である日下圭太(八嶋智人)3人が食事をしている。日下が優子のことを、「かわいいです!29歳には見えないですねぇ。」と誉めるので、盛り上げようと完三は、優子が子供の頃どれ程かわいかったかを力説する。さらに、場を和ませようと自らワインを日下に注ごうとするが、日下は恐縮がって、二人でワインのデキャンタを握りあったままもみ合いとなる。それを止めようとしたウエイターまでもがデキャンタをつかんだ拍子に、ワインは優子の右腕にこぼれ、ジャケットに大きなシミが付いてしまう。驚く一同。ウエイターは謝りながら、厨房へ戻る。一同でナフキンを使ってワインをふき取るが、どうにもならない。そこへ、ギャルソンが来て、染み込んでしまう前にワインを落とすので、ジャケットを預けてくれるように優子に頼み、ジャケットを持っていってしまう。ジャケットをとられ、ノースリーブになってしまい、左腕を右手で隠しながらオドオドしはじめる優子。すると、ショールがふんわり優子の肩に掛けられた。掛けた人物を見つめる一同。「あっ!」優子の口から驚きの声が漏れる。それは片瀬涼(木村拓哉)だった。この店は涼の働く『REVE(レーヴ)』だったのである。「寒くないですか?」と問いかける涼に、優子は「ありがとうございました!」、日下は「すいませんでした。」と答えた。優子に軽くほほえみかけると、テーブルに戻ってきたギャルソンに追い返されてしまった。厨房へ戻る涼の後ろ姿を、優子、完三とも見送っていた。なにか引っかかるものを感じる完三だった。

その晩の堂島家のリビング。ソファで横になりながら耳掃除をしている完三と、電気回路をいじる優子で、今日の出来事を話していた。「でも、日下さん気付いてなかったよ。別に気が疲れても良かったんだけどね・・・」優子の左腕には大きなやけどの痕があったのだった。「あの兄ちゃんは気が付いとったんかな?船で喧嘩しとった兄ちゃんや。パッとあわてて掛けとったやないか。」と疑問を口にする完三、優子は「気が付いたのかなぁ?」と判断が付かない様子だった。見合い相手から電話がかかってくるのでは?と完三が気にしてると、電話が鳴った。

西原美羽(井川遥)の家の門前。美羽の車から降りる涼。門限ギリギリとなってしまったため、涼を送ることが出来ず心残りの美羽だった。門限あと30秒というところで、おやすみのキスをして別れる二人だった。美羽はサイドミラーで涼の後ろ姿を見送るのだった。

日ノ出署刑事課。一人デスクに座り女性週刊誌を読む完三。周りのデスクにはなぜか人がいない。しばらくすると、課長を筆頭にぞろぞろと人が帰ってくる。「さぼったわねぇ!!」杉田琴子(森下愛子)が声を掛けてきた。「なんやったっけ?」完三は捜査会議があることを忘れ、さぼってしまっていたのだった。「で、どんな具合や?」と会議の様子を尋ねる完三。事件当日から行方不明になっていた被害者の元彼氏は、最近被害者と別れていており、マンションの前で二人が喧嘩しているところを同じマンションの住人が見かけていることがわかった。

いつものおでん屋。完三が女性週刊誌を見ていたのは、優子のための外傷治療の病院を探すためだった。「でも、優子ちゃんは気にしてるの?」と琴子が尋ねると、見合いがまとまりそうだから結婚前に何とかしてやりたい、という父親代わりとしての思いを口にする完三だった。

堂島家のリビング。美羽が遊びに来て、優子の見合い相手である日下の写真を見ていた。「優しそうな人じゃない?」しかし、そのせりふを優子は「誉めることがないときに優しそうって言うのよねー・・・」と素直に受け取らなかった。優子は、日下のことをとてもいい人だとは思っているが、つきあうつもりはなかった。「美羽は高校生の時からモテモテだったじゃん!」という優子に、「7年?8年も前のことになるんだね、先生!」優子は美羽が高校生の時に美羽の家庭教師だった。「先生には幸せになって欲しいんだ。」という美羽に、「美羽どうなの?」と切り返す優子。「わたし、好きな人出来ちゃった。」と美羽は素直に告白した。誰かを問う優子に、「この間の船上パーティーで会った人。ケータリングできてた人。騒ぎになっちゃった・・・」と恥ずかしそうに美羽は答えた。優子は騒ぎの時の記憶とレストランでの記憶からすぐに涼に思い当たった。「今度紹介するね。」と言う美羽を見ながら、美羽の好きになった相手が涼だったことが意外な優子だった。

とあるバー。カウンターの中では向井裕希(金子貴俊)が働いていたが、転んで客がカウンターでやっていたチェス盤の駒をぐちゃぐちゃにしてしまった。因縁を付けられる裕希。そこに涼が現れて、駒を全て元通りに戻してしまう。呆気にとられる客を後目に、涼は離れたカウンターに腰掛け、口からピンクのものをティッシュに吐き出した。そんな涼に次から次へと女が色目を使い声を掛けてきていた。

おでん屋の帰り。琴子は、優子の傷が昔の事件の時のものかどうか尋ねる。完三はそうだと認め、しかしそのことを優子は知らない、と答える。完三が結婚しないのも、昔の事件のせいなのかと、さらに琴子はつっこむ。完三は、今更結婚なんてなぁ、とはぐらかすのだった。

裕希の働くバー。カウンターの中で仕事をしながら、涼がなぜモテるかの理由を挙げる裕希を、涼は聞き流している。美羽のことについても裕希からつっこまれるが、涼は何も言わない。そこへ、一人の女(柴咲コウ)がペロペロキャンディーを舐めながら涼に近づき、「探したよ。」と声を掛けてくる。

美羽が柏木直哉(大澄賢也)をドライブデートへ誘う。食事の時、美羽は好きな人が出来ていまつきあっていることを正直に話す。それに対して柏木は、美羽の価値は西原グループの娘だと言うことであり、何を自分がすべきか考えるのが仕事だろう、とたしなめる。美羽は、「私の人生は私のものです。」と突っぱねるが、柏木は美羽の全てが自分のものだと言って相手にしなかった。

優子のなじみの定食屋『たぬき』。焼き魚定食と肉じゃがとビールを待つ優子がくつろいでいると、涼が入ってきて焼き魚定食を注文する。目が合う二人。しかし涼は離れた席に一人で座る。お互い気になるが話はしない。優子に肉じゃがとビールが運ばれ、涼に焼き魚定食が運ばれる。自分が先に注文したのに涼の方へ先に定食が運ばれてしまったことに文句を付ける優子。すると、涼は自分の焼き魚定食を持って優子のテーブルへ移り、「先にどうぞ。」と譲ろうとする。いったんは断る優子だが、結局受け取って無言で食べはじめる。涼は、代わりに納豆を注文して無言で混ぜはじめる。「あの見合いどうなったの?」涼が見合いの話を振ってきた。優子が何も答えずにいると、見合いの場で完三が調子に乗って話した、優子の子供の頃の自慢話を涼は話し始めた。「やめてよ。しつこい!」怒る優子。「あっそ。」すんなりと引いた涼に優子は拍子抜けし、「うまくいきそう、お見合い。」と話してしまった。「お似合いだよね、あの人」と涼は返すが、なんだか優子はうれしくなくて黙ってしまう。そんな優子を、じっと見つめる涼。「なに?」と問い返す優子に対して、涼は「かわいいかわいい妹だなー、と思って。」と完三の気持ちを代弁して冷やかした。そこへ、定食屋のおばちゃんが「お兄ちゃん、あれ捕まえてちょうだい!」と割って入ってきた。

西原家の門前。柏木がデートのあと車で美羽を送ってきた。柏木は、降りようとする美羽を捕まえて、無理矢理キスをしようとする。車からあわてて逃げ出す美羽。「やめてください!」声を荒げる美羽に、すでにお父さんとは話がついているのだから変なことを言い出さないように、と釘を差して柏木は帰っていった。自分の立場を改めて感じて呆然とする美羽。

定食屋『たぬき』。涼が捕まえたのは見せに迷い込んできた白い小鳥だった。小鳥を見て涼は、「あいつに似ていない?あのお嬢様。」と言い出す。白くてかわいくてなんかほっとけない感じがし、きっとどこかのかごの中から逃げてきたように感じると涼は形容した。「美羽もかごの中から逃げ出させてあげたの?」と問う優子に、涼は「それは彼女次第でしょ?」と切り返した。涼は、その小鳥を釣り銭代わりに引き取って帰っていった。涼をベタ褒めする定食屋のおばちゃんに、良く来るの?と優子が尋ねたところ、髪の長い綺麗な女の子と一緒にいつも来るのよ、という答えが返ってきた。「えっ?!」ととまどう優子。優子が店を出て自転車に乗って家路を急いでいると、通りの向こうのコンビニ前のベンチで、涼が髪の長い女の子、宮下由紀(柴咲コウ)と待ち合わせており、恋人同士のように親しげに腕を組んで歩いているのを目撃してしまう。この悩ましい状況に、頭をかきむしる優子だった。

翌日の涼の家。小鳥を愛おしそうに指に止まらせてなでて見つめる涼。

日ノ出署。完三が給湯室でうどんをゆでているが、途中でトイレに来たくなり後輩刑事溝口(林泰文)に任せて廊下へ出る。すると、行方不明になっていた殺害された女子大生の友人である大熊啓吾(村田充)が事情聴取に連れてこられていた。大熊は自分が何か疑われているのか、何度も確認したが、連行している刑事は適当に流して答えない。そこへ、完三が茶々を入れ、疑われていることを大熊へ教えてやる。そして加えて、ビデオラックのテープの並び順について確かめてみるが、大熊はあの部屋では音楽しかきいておらず、映画は嫌いだと言い放つ。
完三は、昼ご飯を琴子、溝口と一緒に食べながら、大熊は犯人ではない、という。人を殺すような顔には見えないし、刑事の長年の勘として違うと思う、と主張する。
夜、署の廊下で、ビデオラックを背景に大熊やその他友人と共に被害者が写った写真を見ながら、一人煙草を吹かして考え込む完三。

優子の職場。優子は携帯で美羽に電話し、昨日の涼と女の件を美羽に伝える。ショックを受けた顔で話にうなずく美羽だった。

コンビニ。仕事帰りで買い物をして帰る完三。レジで会計を待っていると、涼が入ってくる。目が合い、びっくりしながらも挨拶をする二人。涼と由紀が待ち合わせしていたコンビニ前のベンチに掛けて、完三と涼は煙草を吸いながら話をする。涼が、刑事なら拳銃を持っているのか?と完三に尋ねた。ガサ入れの時だけしか持っていないと完三は答えた。すると涼は、人を撃ったことはあるのか?と聞き、それが仕事だから、と完三は軽く流した。さらに、人を撃ったり殺したりするのはどんな気持ちなのかとつっこむ涼に、初めは忘れたと流すが、しつこく訊くので、「自分が死ぬような感じ」とだけ答えた。沈黙。「うそや。想像や。」完三は人を撃ったことはなく、すべて完三の想像によるものだった。涼は続けて、人は神様ではないのだから、人が人を殺すのはおかしくないか、と完三に話を振る。完三はおちゃらけるつもりで、「銃を持ったら人は神様になるんちゃうかな?」と答えると、涼は真剣に「それは間違った神様だよ。」といって立ち去ってしまう。

日ノ出署刑事課。完三はパソコンに向かって、犯罪経歴データファイルで涼のことを探していた。なにか引っかかるものを涼に感じ始めていたのである。部屋に琴子が入ってくる。何をしてるか尋ねる琴子に、涼をどこかで見かけたことがある気がするけれど思い出せない、と漏らす。「昔かぁ。ずぅっと昔かぁ。」

『REVE』。店内の戸締まりをして電気を消す涼。すると、窓の外に美羽が立っていることに気付く。「どうしたの?」涼が声を掛けると、美羽が困ったように寄ってきた。夜食だと言って美羽は持ってきた紙袋をまず涼に渡す。そして、「私の他につきあってる人いるの?」素直に疑問をぶつける美羽に、涼は苦笑して、もう誰もいないから、と店の中へ入るように促す。

日ノ出署刑事課。完三はまた写真を見ながら、ビデオラックのテープの順序について考えていた。「また考えてるの?」琴子が茶々を入れてきた。琴子が「偶然じゃないの?」というが、完三が相手にもしないため、「じゃあ、すっごく記憶力のいいやつとか。一回見たら完璧に全部憶えちゃうみたいな。」と言うと、「そんなやつおるか。」やはり相手にされないのだった。

『REVE』。涼は、見かけた女の子である由紀は単なる女友達だと美羽に説明する。その説明に納得行かないような美羽に対して、自分を束縛したいのか?と訊く。そんなことはないと美羽が答えると、じゃあ自分を信じるてよ、と涼は言う。涼は、自分だって美羽のようなお嬢様が自分のような男を本気で相手にしてくれてるのか不安なんだ、と美羽に告げる。予想外の話にとまどう美羽は、自分にとっては涼がとても遠く感じる、どうしたら近くに感じられるのかな?とつぶやく。すると涼は、美羽に近づき「やる?」と尋ねてキスしようと迫る。思わず引く美羽。涼は冗談だよ、と笑い出す。つられて美羽も笑いだし、二人は抱きしめ合うのだった。
美羽が帰るため車へ戻る。車まで付いていく涼。優子に自分のことを白い小鳥みたいだと話してくれたこと、また自分はそれを聞いてすごくうれしかったことを、涼に美羽は話す。「もう変なこと言わないようにね。」と美羽に釘を差して、涼は美羽の車を見送った。立ち去る涼。立ち去った後には、美羽がくれた夜食の紙袋が残されていた。

仕事帰りに『たぬき』の前を通りがかる優子。ちょっと考えた結果、やっぱり『たぬき』に入ることにする。中をうかがいつつ入ると、今日はもう火を落としてしまったとおばちゃんに言われる。一杯だけ飲めればいいから、と言って優子は奥へ進む。すると、やはり涼が一人で食事をしていた。お互い挨拶し、優子はそのまま涼のテーブルに着く。他に行くように言う涼に、優子は涼に話があって探してここに来た、と告げる。涼が注文したお鍋が運ばれてきて、涼が優子にも食べるように勧めるが、優子は断る。「ねぇ、美羽。あなたに夢中なの。本気なの。ほんとに美羽のこと好きなの?」と優子は涼に問いただす。すると涼は、「それ聞きに来たの?ほんとはあんたが気になってんじゃないの?おれのこと。」と逆に聞き返してきた。予想外の展開に固まる優子。「悪いけど、わたし、あなたのそういうのに引っかからないから。」そう言って、一度は断った鍋を腕をまくりながら憮然とした顔で一緒に食べ始めた。優子の左腕のやけどの痕に目をやる涼。それに気付いて、「小さい時の火傷なの。」と優子は食べながら説明する。優子が「気になる?」と尋ねると、涼は「別に。」と答えるが、でも、見合いの時には隠してたじゃない、と指摘する。あのときは見合い相手がいたからだ、と優子が説明すると、じゃあ、おれに対しては気にならないのか、と涼が突っかかってきた。「(やっぱり火傷の痕が)気になるわけ?」「別に・・・」その後は二人で黙々とお鍋を食べるのだった。

日ノ出署刑事課。夜、涼のことを考えながら、一人うどんをすする完三。

涼の家。傍らの小鳥を眺めつつ、優子のことを考えながら、ナイフでリンゴを食べる涼。

涼は由紀の部屋を訪ねる。ベッドの上で裸でくつろぐ涼。「ずっと気になってたんだけれど・・・」涼の左肩にも、大きな火傷の後があった。

日ノ出署刑事課。琴子が完三の様子を見に寄る。相変わらず完三は写真を前に、ビデオラックのテープの並び順の謎について考え込んでいた。「完ちゃん、ほんとこだわってるよね。」という琴子に、「この子、俺のタイプやねんか。」とお茶らける完三。琴子は苦笑して、飲み行こう、と完三を連れて帰るのだった。席を立ち、最後のもう一度写真を一瞥する完三。じつはその写真のビデオラックの横には、由紀が写っていたのだった。

由紀の部屋。抱き合う涼と由紀。

空から降る一億の星(ドラマ)第3話のあらすじネタバレ

とある銀行。ATMの前には長蛇の列が出来ている。完三(明石家さんま)は、ATMで現金をおろそうとするが、残高不足でカードが返ってきてしまい、後ろに並ぶOLたちに笑われる。金額を30万円に落として再びおろそうとする完三。しかし、それでも残高不足になり、ついには周りに並んでいる人達からにらまれてしまった。

 フレンチレストラン『REVE』。優子(深津絵里)と日下(八嶋智人)がデートで食事をしている。ソースを口の周りに付けてしまい、気が付かない優子に、日下はそのことを教えてあげるが、うまくソースを拭き取ることが出来ず困る二人。すると、ギャルソンがすっとおしぼりをくれ、優子はそれで口をふき取った。ふき取りながらふと視線をあげると、日下の後ろにある厨房への扉の向こう側に涼(木村拓哉)がおり、こちらの様子を見て笑っているのが見えるのだった。涼の意地悪に、むっとする優子 。

 日ノ出署刑事課。刑事課の一部からは、当初の読みと反して、女子大生殺人事件の事情聴取を受けていた、被害者の友人大熊啓吾(村田充)は犯人ではないのでは?という意見が出始めていた。大熊は、被害者とつきあっていたのは認めたが、それ以上はなにも出てこないのである。現場である女子大生の部屋の鍵がかかっていたかを、後輩刑事溝口(林泰文)に尋ねる完三。つきあっていたのであれば合い鍵くらい持っており、大熊が犯人で自殺に偽装しようと思ったら、部屋を最後に出るときに鍵くらい閉めるだろう、と完三は意見した。「これや、このビデオやねんや。順番一緒や・・・」完三は大熊のことよりも、現場のビデオラックのビデオの順番が、事件前後で全く変わりないことにやはりこだわっていた。「完ちゃん、まだこだわってる。一回見たら忘れないとか?」と同僚の琴子(森下愛子)からからかわれながらも、「妙や・・・あの兄さんとちゃうな・・・殺しよったんは変な奴や。」と煙草を吹かしてビデオラックの写真を見ながらつぶやき続ける完三。

 レストラン『REVE』。化粧室で化粧直しをする優子。鏡でばっちり決まった自分にほほえむ。化粧室を出ると、ちょうど廊下を通りがかった涼と出会った。「よかったね、いつもの癖出なくって。またおしぼりで顔拭くかと思ったよ。」冷やかす涼。「そんなおっさんみたいなこと私がするわけないじゃない!わたしがいつ顔拭いたって言うのよ。」と優子は言い訳するが、二人共通の行きつけの定食屋『たぬき』で優子が顔を拭いているところを涼は見かけていたのだった。むっとして去っていこうとする優子に、「お見合いうまくいってるんだ。」とさらに涼が声を掛けて引き留めた。優子は、彼はあなたとは違うエリートであり、生活のことを考えたら夢だけでは生きていけないのだから、エリートは重要な条件だ、と涼へ言い放つ。「おれは夢だけ食べて生きていきたいけど。」という涼の答えに、言葉に詰まる優子。そんな優子を見て、涼は、「目の上に何か付いているから取ってやるよ。」と近づいてきた。仕方ないので、構えつつも優子は目を閉じた。見計らったかのように、優子にキスしようと涼は顔を近づける。なにかおかしいことに気付いた優子が目を開けると、目の前に涼の顔があった。びっくりする優子。そんな優子を涼は笑って見ながら、「こういうこととかまだしてないでしょ?」と言って去っていった。優子は涼にまた腹を立て、後ろ姿をにらみつけるのであった。

 西原家のリビング。美羽(井川遥)が両親に、柏木(大澄賢也)とのおつきあいをやめたい、とお願いしていた。驚く両親。美羽は好きな人が出来たのだと、ついに両親に言ってしまう。母親(泉晶子)のことを「君は知っていたのか?」と責める父(鹿内孝)を見て、美羽は、自分の好きな人がこの間の誕生日の船上パーティーで出会った『REVE』の見習いコックであることを正直に話す。あまりの予想外の相手に、顔を見合わせて更に驚く両親。すごくすてきな人だと話を続ける美羽に対して、父親は「馬鹿も休み休みいいなさい、だいたい君がしっかりしないから!」と美羽を諫め、母を責めるのであった 。

 『REVE』の厨房。休憩している涼が”新時代電気”という雑誌を読んでいた。そこへ、野菜を納入しに来た裕希(金子貴俊)が通りかかった。何を読んでるのか?と聞いてくる裕希に対して、その雑誌に『REVE』が出るんだ、と載る予定のレストランを紹介しているページを見せた。あまり関心がなさそうに去っていく裕希とは対照的にページを見つめ続ける涼。実はそのレストランを紹介するページの写真を撮るのが優子だったのだ。

 完三行きつけのおでん屋。琴子を誘って飲みに来たが、その理由は琴子への借金の申し入れだった。今日はわざわざ時間を指定して店で待ち合わせたので、てっきりデートみたいだとウキウキしていたのに、来てみれば用件が借金のお願いだったため、怒り心頭の琴子だった。「なんや、おれのこと好きやったん?」まったく怒っていることとは話がずれたことを言う完三にあきれる琴子。「何のためのお金?女?」話を切り替える琴子に対して、「何も言わんと貸してくれ。」と完三は頼む。事情も言わずに貸せという完三に、そんなお金はない、と琴子は断る。すると完三は、そんなわけはないだろう、40過ぎて独りで地味におしゃれもせずに仕事一筋で、ないわけないやろ?と、正直に詰め寄ってしまい、さらに琴子を怒らせてしまった。

 西原家の美羽の部屋。美羽の携帯が鳴る。涼からの電話であることがわかると、出るか出まいか迷う美羽。意を決して出ようとすると電話は切れた。そこへ、母が紅茶を持って話をしにやって来る。母は、父の事業があまり調子が良くないこと、また、今を乗り切るためには柏木家が命綱であること、だから、もう一度柏木とのことを考えてもらえないか?と頼みに来たのだった。何も答えられずうつむく美羽。

 涼の家。深夜、家の家具を青色のペンキで塗り替える涼。その横には、白い小鳥がとまっていた。

 『REVE』。優子が取材をしにやってきた。涼が、料理をサーブして優子を手伝う。「カメラマンとかいないの?」「デジカメとか使わないの?」優子に対して厳しくつっこむ涼を尻目に、優子はインタビューを始めた。「『REVE』というお店の名前の由来は?」と聞く優子に「知らない。」と答える涼。「じゃ、創業何年?」と言う問いに「300年」と答える。「うそでしょ?」とびっくりする優子を、当たり前だろうとばかりに涼はあしらうのだった。負けじと「じゃ、ここのおすすめ料理は?」と続ける優子。「モツ煮込み」と答える涼に、ついに切れて「ふざけてるんですか?」と優子は怒った。涼は、自分はこの店に来てそれほどまだ時間が経っていないから、そんなことはわからない、と答えるのだった。
 「あなた、どこからきたの?」優子は素直な疑問を涼にぶつけた。涼は上を指さし、「月。かぐや姫みたいに。」と答えた。あきれる優子に気が付いた涼は、ごめん、と謝る。優子は話を取材に戻し、なぜ涼の他だれも店にいないのかを尋ねる。すると、涼は、今日は店が定休日だと答え、反対に優子に質問をしていいか、と尋ねる。それに対して優子は、自分のことを聞かれるのは好きじゃないからいやだ、と断った。「いや、あなたのことじゃないこと。美羽ちゃん元気?最近連絡ないんだけど・・・」と美羽について涼は聞いてきた。優子は、一瞬とまどい、知らないと答える。しかしその態度で涼は事情を察したのだった。続けて優子をからかう様な態度をとり続ける涼。それを止めて欲しいと優子は頼むが、涼はからかわずにいられない顔をしているし、一緒にいるとからかいに加速度が付く、とまったく意に介さなかった。さらに、話をしていると自分のペースが崩れむかついてくる、とまで言い出した。そこまで言われて、優子は腹が立ちすぎて何も言えず、ただ涼をにらむ。すると、「ちょっとごめん。」と言って涼の方が席を外した。厨房で仕込みのお鍋の様子を見る涼。そこへ、涼を追いかけて優子が厨房へ入ってきた。仕込み途中の野菜のスープを使ったまかないを、赤ワインと共に二人で食べることになった。「乾杯。」涼がグラスを持ったにもかかわらず、そんなことは気にせず料理に口を付ける優子。「おいしいよ。」一口食べて優子は料理を誉めた。前から料理が好きなのかを優子は尋ねるが、涼は、別にそういうわけではないし、この店に入ったのもなんとなくで何も考えていないと答える。驚く優子。反対に、涼が優子は何が好きなのかを問う。「おいしいものを食べるの好き、あと電気関係のこととかも好き。」生き生きと答える優子を、涼はじっと見つめていた。
 しかし、延々電気関係の話を始める優子に笑ってしまう涼。「聞かれるのは嫌いなのに、聞かれたら一生懸命答えるんだな。」と言われ、優子はまたからかわれたと思い、むっとしてフォークを置いてしまう。涼は、からかった訳ではなく、むしろ機嫌を取ってるかも、食事は楽しくしたいじゃん、とフォローするのだった。白ワインを持ってくると言って、涼が席を立つ。その姿を見ながら優子は、「たのしいよ、おいしいし。」と笑顔でまた料理を食べるのであった。

 日ノ出署。廊下で完三が、チラシで見つけた消費者金融へ電話をして借金について話を聞いていた。チラシを持って完三の前に現れる琴子。借金の使い道について、琴子は完三へ問いただした。

 『REVE』。取材も終わり片づけを始める優子。その横のテーブルで、涼がテーブルに突っ伏して寝ていた。涼はお酒が飲めないのに無理矢理優子につきあって飲んだため、寝てしまったのだった。「お鍋煮立っちゃうよ?」と心配する優子に、涼は弱火にしておくようにお願いして寝続けてしまう。「バン!」テーブルを急に叩いて優子は涼を起こした。優子は、「訊きたいことあったんだけど・・・」と、左腕の火傷の痕が、気になるか、また、手術でその傷を治した方がいいかどうかを尋ねた。それに対して涼は、わざわざ痛い思いをして直すほど気になる傷ではないと答えた。その答えを聞いて、優子は、涼がそういう答えをする事はわかってた、涼がどういう風に話すかは聞く前からだいたいわかる、でも、訊きたくなる、と言う。涼は、自分に火傷の痕があることを告白して、服を脱いで左肩の火傷痕を見せた。思わず近寄って傷に触る優子。
 「痛い?痛くないんだよね、火傷の痕って。痛そうなのに。」共通の傷を持つことを知って、優子は涼に対して共感を憶えるが、涼はそれをうち消すかのように、傷は自分にとっては女の子に対して使えるからいいのだ、とおどける。「そんな風に言わなくていいよ。」優子は涼の強がりを見抜いて、自分の話を始めた。
 自分は早くに両親を亡くし、しかも不幸の象徴のようなこの傷があるが、両親に大事にされている子にはこんな傷はあるわけないと感じていたこと、子供の頃からいつでもかわいそうって言う目で周りから同情されながらも傷を盗み見されていたこと、ずっと独りだったこと。「あなたは違うの?すごく孤独な目してるよ。」優子は涼に問いかけながら左肩の傷に手をやった。その手を握って払う涼。「触んなよ。帰ってくれ。あんたと居るとほんと調子狂うから。」そういって優子を涼は拒絶した。わざと明るく振る舞って優子は荷物を持って歩き出す。ドアの前で立ち止まり、優子は涙目で話し出す。「ねえ!やけど、お揃いだね。わたし、何でかわからないけどあなたと居ると淋しくなるよ。ほんとは淋しかったこと、思い出しちゃうよ。へんだね。」そう言い残して店を出た。片付けに厨房へ入った涼、足下のくずかごをけ飛ばし、やりきれない顔をした。

 日ノ出署。完三がお金を工面しようとしていたのは、優子の火傷の痕の手術代のためだった。堂島家の家計を握っているのは優子であるため、優子には内緒で自分の使えるお金の範囲で、ポンと優子にお金を渡して手術しろ!と軽い気持ちで勧めてやりたい、というのが完三の気持ちだった。それを聞いて琴子は、次のボーナスで返すと言う条件で、無利子でお金を貸してあげることにした。喜ぶ完三。
 その晩の堂島家。夕食の後かたづけをし終えた完三は、お金を手にテレビを見て笑い転げる優子に話しかける。なかなか本題を切り出せない完三を不審がる優子。ついに話を切りだそうとして、完三がテレビのスイッチを切ると、優子はこれから見たいところなのに、とリモコンをひったくってテレビを再び付ける。また消そうとする完三と消させまいとする優子でリモコンを取り合うが、最後には優子が勝つ。どうしよう、と困る完三。それを見て優子は、なんか話?と改めて聞く姿勢を見せる。完三は、やっと話を切りだした。
 署で臨時ボーナスが出たから、そのお金で手術をしないか?と勧める完三に対して、優子はこのままでいい、大した目立たないし、こういう傷を持っている人は結構居て、涼もそうで傷を見せてもらった、と答えるのだった。突然涼の話題が出て、優子との仲を勘ぐる完三は、優子にそういう仲なのか?と尋ねる。優子は正直に、美羽の彼氏だと話す。驚く完三。
 お風呂に入る完三。「火傷の痕。まさかなぁ・・・」とつぶやく。

 行きつけの定食屋『たぬき』。完三が久しぶりに訪ねると、既に店に涼が由紀(柴咲コウ)と来ていた。目で挨拶を交わす完三と涼。涼と由紀がいちゃいちゃし始めたのを耳にして、完三が文句を言いに行こうとすると、完三の注文した生中が来てしまい、出鼻をくじかれる。その後、由紀がトイレに席を立った隙に、涼の所へ行く完三。「おまえ、美羽ちゃんと付きおうとんねんな?」問いつめる完三に対して、由紀は妹だと涼はとぼける。「妹とあんなにいちゃいちゃするやつがどこおんねん。」という問いに対しても、「ここ!」と涼の態度は変わらない。そこへ、由紀がトイレから戻ってきて、先に隣のコンビニへ行ってる、と言い残して店を出ていった。完三は話を変えて、涼の火傷の痕がいつのものかを尋ねる。涼は、ガキの頃のことで、そんなことなぜ聞くのか?妹にも同じ様な傷があるからか?と逆に質問する。一瞬たじろぐ完三。
その隙に涼は、食事代を完三に付けて帰ってしまった。
 コンビニで仲良く雑誌を見る涼と由紀を外から眺める完三。それを確認した後、帰ろうとして完三はあることに気が付き、走り出す。

 日ノ出署。被害者の女子大生の部屋で撮った友人たちとの写真を探し出して見つめる完三。そこに由紀が写っていることを確認した。

 由紀の部屋。ベッドに横たわる涼と、ベッドの横に腰掛ける由紀。「涼ちゃん、私、涼ちゃんのためなら何でもやるよ。」由紀は、涼が自分のことを少しでも好きでいてくれたらいい、涼が自分に笑い方を教えてくれた、涼のことを思うとほっとして自然に笑える、だから涼の言うことは何でも聞く、と笑って言った。それを受けて、涼もほほえむ。「おいで。」抱き合う涼と由紀。

 喫茶店。完三と美羽がテラス席でお茶をしていた。完三は、美羽に涼の話をするために美羽を呼び出したのだった。美羽の腕には完三から贈られたブレスレットがはめられていた。「そのブレスレット直してくれた人の話やねんけど・・・」と完三が話を切り出すと、「まさか、完三さんは反対しないよね?」と泣きそうになる美羽。「あいつはやめとけ。」そう止める完三に、「どうして?私と彼が違うから完三さんもお父様やお母様のように反対するの?」と美羽は詰め寄った。完三は、あいつは危ない感じがするから、と言って止めようとするが、美羽は、自分はもう25の大人なんだから自分のやることを信じて欲しい、と主張する。
 「あいつ、しょうもうないやつやで?だいたい、他に女が・・・」と完三が言いかけたところで、「もういい、聞きたくない!」と言って美羽が話を遮ってしまった。完三が贈ったブレスレットも返すと言ってはずしながら、完三のことはほんとのお兄さんのような気がしていたから、話せばわかってもらえて味方してくれると思っていたのに、その辺の大人と同じだ、と、言い残して美羽は走り去ってしまった。走り去る後ろ姿を見つめる完三。

 堂島家のリビング。美羽から突き返されたブレスレットを見つめる完三。そこへ優子が仕事から戻ってきた。優子は、テーブルの上に美羽のブレスレットがあることに気付き、美羽と会っていたの?と尋ねた。完三は、その通りで、ブレスレットは忘れていったものだ、と答えた。そのブレスレットを見ながら、優子はブレスレットの秘話を話し出す。ブレスレットは涼が直してくれたものだが、直してくれたものは、玉の位置まで全てまったく元の通りに直してくれたのである。「なんやて?全部一緒やった?」予想外の話に優子に聞き直す完三。「そう、順番がね、壊れる前と。すごいよね、一回見たら忘れないのかなぁ?」と優子は答えた。女子大生殺人の現場である部屋のビデオテープの順番にこだわっていた完三に対して「一回見たら忘れないとか?」と言った琴子のせりふを完三は思い出し、呆然とした。

 『REVE』。ゴミを裏に出しにでた涼。そこへ美羽が現れる。「どうしたの?そんな捨て猫みたいな顔しちゃって。」と涼が声を掛けた。「どうしたらいいのかわからないの。あなたのこと、あきらめようと思ったけど、私どうしたらいいのかわからないの。」といって、美羽はその場に座り込んでしまった。「どうしてあきらめんの?」と問う涼に、「みんなが反対する・・・」と美羽は答える。
 「みんななんて、関係ないじゃん。」という涼の答えに、美羽はハッとして涼を見上げた。涼はほほえむと、美羽を立たせて、これから家まで送って行くからちょっと待ってて、といって、店に戻ろうとするが、美羽は「今日は帰らない。」と、涼に抱きついた。遠くを見つめながら、美羽を抱きしめる涼。そして二人はキスをする。
 真っ暗な厨房の中で、抱き合いキスをする涼と美羽。涼がふと美和の右腕を握り、「今日はしてないの?あのブレスレット」と尋ねる。そうだと、答える美羽を再び涼は抱きしめて二人は重なった。

 日ノ出署刑事課。美羽のブレスレットを前に完三はつぶやく。「順番が壊れる前と一緒か・・・」

 次の日の『REVE』。煙草を吸いながら完三が店の前に立つ。涼が出勤してくる。「おはようさん。」声を掛ける完三に、店は10時からだから、と涼は出直すように勧める。完三は、今日は客ではないと答え、美羽のブレスレットを涼の目の前に掲げ、「あんた、前に俺に人殺す気分てどんなか訊いたな?こんどは俺が訊く番や。人殺す気分でどんなや?」見つめ合う完三と涼。

空から降る一億の星(ドラマ)第4話のあらすじネタバレ

『REVE』の厨房。開店準備前の厨房の雑然とした雰囲気を見て、堂島完三(明石家さんま)は「外はきれいやけど、仲はちょっとなぁ・・・」と嫌みを言う。それに対して、片瀬涼(木村拓哉)はどの店もこんなものだと流して、完三に紅茶を出した。涼は、他の人が店に来るまで後15分くらいだから、と念を押した。この店にきてまだあまり日が経っていないため刑事である完三と一緒にいるところをあまり見られたくはない、ということだった。
 完三は、西原美羽(井川遥)のブレスレットを取り出して、このブレスレットは一回壊れたのに全ての玉がまったく壊れる以前と同じように直された、という話を、このブレスレットを直したのが涼だと知っている上で涼に聞かせる。「不思議やろぉ?」と。さらに、自分が現在担当している三田の女子大生殺人事件の話を始め、その現場でのビデオラックのビデオの並ぶ順番が、事件の前と事件で争って並べ直した後と全く同じになっていたことも涼に話して聞かせる。「不思議やろぉ?」と。「あっちも不思議や。こっちも不思議や。おんなじ様に・・・」と涼に同意を求める完三。すると涼は、「それ、同じ奴の仕業かもね。」と意見する。それを聞いて「それお前やろ?」と問いつめる完三に、涼は「あ、そうか。じゃあ違うか。だって、俺その三田の女子大生知らないもん。」「あ、そうか。じゃ、帰るわ。」そういって完三は立ち上がる。
 「あ、最後に、人殺す時ってどんな気持ちや?」振り向いて涼に尋ねた。「気持ちいよ。」そういって薄笑いを浮かべながら完三に近づいてくる涼。「でも、バイオハザードの中でしか殺したことないけど。」と笑い出した。馬鹿にされたことに気付いた完三。バイオハザードを知らない完三に対しておっさんだと笑う涼に向けて「おっさんなめるとな、えらい目に遭うぞ。」そういい残して完三は店を後にした。その後ろ姿を、真剣な顔で見つめる涼。

 日ノ出署刑事課。女子大生殺しの経過について、完三は杉田琴子(森下愛子)に尋ねる。参考人である被害者の元彼氏である大熊啓吾(村田充)は犯行を認めておらず難航していた。生前に被害者の部屋で撮った写真の友人たちには事情をすでに聞いている聞き、涼と一緒にいたところを目撃した宮下由紀(柴咲コウ)の立場を確認した。由紀は被害者の遊び友達であり、写真はたまたまホームパーティーに呼ばれたときに撮ったもので、とくに被害者と親しいと言うわけではなかった。この子をなぜ気にするのかを尋ねる琴子に、「琴ちゃん、ちょっとつきおうて!」と話を遮って完三は琴子を連れ出した。

 西原家のリビング。朝帰りをした美羽に両親が詰め寄っていた。誰とどこにいたのか?という父、建造(鹿内孝)の問いに対して、涼と一緒にいたことを正直に話す美羽。父は「そんなふしだらな娘に育てた覚えはない!」と更に美羽を叱責するのだった。

 堂島優子(深津絵里)の職場。この間取材した『REVE』の記事を作っている優子の携帯が鳴り、それは美羽からの電話だった。涼と一晩過ごしたことが両親に知られて以来、家から一歩も外に出してもらえなくなってしまったので、涼と会えるようにして欲しい、という泣きついてきた電話だった。涼と美羽が一晩一緒に過ごしたことを聞いてびっくりした優子だったが、「わかった。」と了承する。

 『REVE』。優子は取材したときに写した料理の写真を選んでもらうために『REVE』を訪れていた。決定された写真を涼が優子に手渡す。取材したときのやりとりから、何となく気まずい空気が二人の間にはあった。
 取材の話が終わったあと、優子は3分だけ、と言って美羽が今家から出られなくなっている話をした。「どうして?」と聞く涼に対して、あきれて「どうしてって、あなたといて朝帰りしたからでしょ?」と優子は答える。「キューピッドだね。」と楽しそうに言う涼を見て優子は、美羽はお嬢様だからあなたみたいなのとつきあうと大変なのだ、とつい言ってしまう。優子を凝視する涼。まずい言い方をしてしまったと優子は反省して謝る。結局、優子が美羽を連れだして、涼に連絡を取り二人を会わせることとなった。厨房へ戻ろうとする涼。その背中に、「あっ!電話番号?」と優子が尋ねると、「あいつが知ってるから。」との涼の答え。厨房へ入った後の涼に、再び優子が「あっ!」、涼が戻ってきて「なに?」と尋ねる。優子は最後に取材のお礼を言って帰り支度を始めた。厨房入口のドアの裏で考え込む涼。

 西原家のリビング。柏木直哉(大澄賢也)が訪ねてきて、美羽と美羽の母を交えて歓談する。柏木は美羽が友達と夜遊びをして父にとがめられたと聞いて、美羽を茶化す。「まだ子供ですから。」と話を合わせる美羽の母。そんな二人のやりとりにますます位気持ちがふさがる美羽だった。

 『REVE』。完三と琴子が食事をしにランチタイムに訪れる。完三が選ぼうとしていたメニューは夜のコースで、それをウエイターに指摘されると、カレーを注文した。また困りながら断るウエイターに、それなら涼を呼んでくれるように頼んだ。厨房から出てくる涼に向かって、完三は琴子のことを寛恕だと言って紹介した。驚きつつもうれしい琴子。涼はそんな琴子を見て、「綺麗な人ですね。」と完三にささやいて厨房へ戻っていく。誉められたことに照れつつ、涼のことを「きれいな子ね。」と琴子が言った。それに対して完三は、「悪魔や。あんな顔してな、悪魔や。」

 日ノ出署。彼女として紹介されてフランス料理を一緒に食べて気をよくしている琴子に、完三は、彼女として紹介したのは行きがかり上のことで、フランス料理など今後一生ないから、と答える。また、完三は、涼の印象を琴子に訪ねる。琴子は普通の子だった、と答えるが、完三は感じるものがあり、三田の女子大生殺しは涼の犯行ではないかと話す。これまで見てきた犯罪者から考えると、涼はさらさら世の中を渡っていきそうで、犯罪者のタイプに当てはまらないと取り合わない琴子だったが、捜査会議にも出ない完三が、三田の女子大生殺しにこだわっているのが、涼のせいであることがわかり、不思議がる。完三いわく、涼は危ない感じがし、涼に対して胸騒ぎがするということだった。

 川辺の公園。涼が一人待っている。そこへ、優子が美羽を連れだして二人で現れる。美羽は涼の姿を見つけるなり、涼に向かってかけていく。うれしそうな美羽を確認すると、優子はまたここで6時に落ち合う約束をして、自転車で戻っていく。この後の予定をどうするか、涼が美羽に尋ねると、美羽の答えは「ふたりっきりになりたい。」だった。そんな美羽を見つめ返す涼。涼が差し出す手を美羽が握り、二人で歩き出した。
 ラブホテルのフロント。パネルから部屋を選ぼうとする涼。その脇で美羽が浮かない顔をして立っている。
 「どうしたの?ふたりっきりになりたいって言うから・・・やめとく?」「いじわる・・・」涼は美羽の手を取り、選んだ部屋のボタンを二人で押すのだった。

 墓地。お墓参りをしている完三の後ろから琴子が声を掛けた。「完ちゃん!やっぱりここか。」無言でうなずく完三。もう25年もたっているんだし、優子ちゃんを引き取って育てたし、十分つぐなったと思う、そろそろ忘れてもいいのでは?と、問う琴子に、完三はそうもいかないと答える。「でも、優子ちゃん何も気付いてないの?」「あいつアホやからな、おれのこと、ほんまもんのアホの兄ちゃんおもうとるんよ。あいつが幸せになるのがワシの人生みたいなもんやからなぁ・・・」そんなせりふを聞いた琴子は、完三はまだ若いんだし、完三がそんなこと心配しなくても、優子はちゃんと自分で幸せになると思う、と励ます。「そうか、そうか。琴ちゃんに言われたら百人力や。」と完三は答えた。

 川辺の公園。クレープを食べて一人で時間をつぶす優子。優子の携帯がなる。

 ラブホテルの部屋。涼が部屋を出ようと、ドアを開ける。すると、美羽が涼に抱きついてくる。抱きしめる涼。「行こうか。」美羽の背中を叩きながらなだめる様に涼は言うが、その顔は遠くを見つめていた。

 川辺の公園。6時10分過ぎ。すでに約束の6時を過ぎて、優子は一人やきもきしながら待ち合わせ場所で待っていた。そこへタクシーに乗って涼と美羽が現れた。「遅いよ、美羽!お母さんから電話来てた。」と言う優子に、携帯の電源を切っていた、と言って美羽が謝った。もう時間がないので、このままタクシーで帰ろう、と言う話になり、自転車をタクシーに積もうとする。しかし、美羽はもうどうせ怒られるのは一緒だからひとりで帰ると言い出す。「電話するから!」と涼に言い残して、美羽は一人タクシーに乗り帰っていく。見送る涼と優子。「飯でも食う?」と誘う涼に、「喰わないでしょ。友達の彼氏と。」と言って優子は断る。「さよなら。」そう言って優子は自分の自転車で走り出した。涼はしばらく優子の後ろ姿を見つめていたが、反対の方向へ歩き出す。「ねぇ!ねぇ!!乗せてってあげてもいいよ。」と優子がいきなり振り向いて涼を誘った。「友達の彼氏とじゃまずいんじゃない?それのそれどうやって二人で乗るの?」優子の自転車は荷台がなく後ろに人を乗せられないタイプのものだった。断られた上に間違いを指摘され焦る優子は、「じゃあね、バイバイ!」と言い残して言ってしまった。また優子の後ろ姿を見つめる涼。「バイバイ・・・」小さくつぶやいて涼も帰り道を歩き出した。

 堂島家。優子が先に帰っていると、完三がベロベロに酔って琴子に連れて帰ってもらってきた。「水、水!」という完三を尻目に、「放って置いて、お茶でも。」と琴子にお茶を出す。そのままソファで寝込む完三に、優子は毛布を掛けてあげた。「琴子さん、お兄ちゃんのことよろしくね。」そういって優子は、普段の兄に対する、友達がいないみたいだ、昇進もしない、といった不安を琴子に話して、琴子に兄完三のことをお願いする。そんな優子を見て、「だいじょうぶ、わかった。言い友達で頑張るさ。」と琴子は請け合ってあげるのだった。「ともだちかぁ・・・」とちょっと複雑な琴子はつぶやく。

 翌日の日ノ出署。二日酔いの完三が、給湯室で梅干しを入れたお茶を入れていた。後輩の溝口が様子を見に来る。そこに、琴子も来て、「わたしもお茶欲しい!」と言って戻っていく。「はい。」琴子に完三はそう返事をしたものの、完三は自分で入れずに溝口へお茶を入れるように命令する。
 しぶしぶお茶を入れる溝口。
 刑事課居室。完三のデスクの上の資料を見て、また三田の女子大生殺しを追っていることを、琴子が気付く。完三は、被害者の女子大生がどんな子だったかを調べていたのだった。被害者のマンションが高級マンションだったため、お金持ちのお嬢さんだと持っていたところ、実際には家が傾き掛けていたと言うことだった。また、新たな事実として、犯行現場からつけ爪の破片が見つかっていた。被害者のつけ爪が割れたものではないか、と言われているとのことだったが、完三は今ひとつ納得がいっていない様子だった。「つけ爪ねぇ・・・」つぶやく完三。

 アイスクリーム屋。そこでは由紀(柴咲コウ)がアルバイトしていた。完三はソフトクリームを買い、少し話が出来ないか、と由紀を連れ出す。「聞きたい奴っていうのは、涼言う奴のことやねんけど。」そう言われて「おじさん誰?興信所の人?」由紀は聞き返した。完三は、違うと答え、辺りを見回しながらこっそり警察手帳を見せる。目を伏せる由紀。完三は、三田の女子大生殺人事件で取り調べを受けただろう、とか、定食屋で涼と一緒の時におれといっぺん会っただろう?といった話をするが、由紀はまったく話に乗ってこない。定食屋で会ったときに水商売かな、と思ったと完三が素直に印象を話すと、「そう言うところの方がお金も良くていいんだけど、すぐくびになるの。」と話し始めた。「なんで?」「人見知り激しくて、愛想もなくて、風俗もやろうとしたんだけどだめで。やな客とか来ると、すぐその場で吐いちゃって・・・」それを聞いて高笑いする完三。びっくりして完三を見る由紀に、「あんまり正直でええなー、思うてな。おもろいな、君。」そういって完三は笑いながらソフトクリームを食べ続けた。そんな完三をじっと見つめる由紀。

 映画館。優子は、見合い相手の日下圭太(八嶋智人)とデートで映画を見ていた。まったくつまらないと思っている優子に対して、日下は大笑いしていた。とまどう優子。しかし、終わってから話してみると、日下もつまらないと思っていたのに、優子を盛り上げようとして無理に笑っていたのだった。それを知って優子はひたすら謝る。日下は話を変えようとして、自分のこれまでの映画ベスト5を語り出す。優子の映画ベスト5も尋ねるが、優子は映画をあまり見ないため何も言えなくなってしまう。代わりに好きな電気法則なら言えます!といって、電気法則ベスト5について話し出す。今度は日下の方が優子の話に付いていけなくなってしまった。

 アイスクリーム屋。ソフトクリームを食べ終えて帰ろうとする時に、完三は、涼が他の子ともつきあっていることを由紀に話す。「お金持ちのお嬢様。」由紀はなんとなく既に知っていたのだった。「つきあってても関係ない。あの人誰にも心開かない。閉ざしてる。女とつきあうなんてあの人にとって何の意味もない。誰も彼に近づけない。」「君は違うのかい?君は特別か?君には心開いてるのかいな?」そう言われて由紀は黙ってしまった。そんな由紀を見て、いろいろ立ち入ったこと聞いたり話して悪かった、堪忍な、と言い残して完三は帰っていた。

 お台場の公園。散歩する優子と日下。日下が、「今までありがとうございました。」と別れを切り出してきた。優子はやさしいから、いままで断れなかったのだろう、優子のように若くてきれいな人と出会えただけで今回のお見合いは良かった、優子は見た目だけじゃなく中身も優しい、と言うことだった。
 「そんなことわかるんですか?」と聞く優子に、女性のことは映画でたくさん勉強したからわかります、と答えると、日下は、車をひろってきます、と通りにタクシーを拾いに行ってしまう。思わずほほえむ優子。
 優子は、日下の映画ベスト5を見たいから、もう少しおつきあいを続けませんか?と申し出る。喜ぶ日下だった。

 堂島家。きれいだと言われたことに気をよくして、ニコニコしている優子。その優子に完三は、少しくらきれいだと言われたからって、見合いしてつきあっているのだから、もう少しつきあってなんて言ったら、その先には大きな口を開けて結婚が待ってるんだぞ、とあきれて諭す。「やっぱり結婚か・・・」自分のしたことの重大さに気付く優子。「おまえ、ほんまに調子ええからなぁ。かっこつけて、ほんまに。」とさらに追いつめる完三に対して、「おにいちゃん、わたしに結婚して欲しいの?結婚して欲しくないの?どっちなのよ!?もういい、一人で考える。」と優子は部屋を出ていった。「嫁には言って欲しいねんけどな・・・」と完三は一人つぶやくのだった。
 完三は、美羽から優子に電話があったことを思い出し、優子に伝える。

 西原家の美羽の部屋。美羽が一人、部屋で手紙を書いていると、美羽の母が優子からの電話だといって受話器を差し出した。受け取って電話に出る美羽。この前のせいで、美羽は家どころか部屋からも出してもらえなくなってしまったのだった。そこで、涼に手紙を書くのでそれを優子に渡して欲しい、というお願いだった。それを聞き入れて、優子は『REVE』へ電話する。すると仕事中で忙しい涼は、明日行きつけの定食屋である『たぬき』で、と言うとガチャンと電話と切ってしまった。「勝手・・・」ひとり愚痴る優子。

 定食屋『たぬき』の前。翌日優子が『たぬき』を定休日の看板。途方に暮れていると、涼が「どうしようか。」と言って現れた。すぐさま、優子は手紙を涼に渡してすぐに帰ろうとする。そんな優子を涼は、ちかくにうまいラーメン屋があるから行こう、といってむりやり自転車を奪って乗っていってしまう。「ちょっとぉ!」追いかける優子。ラーメン屋に着いてみると、そこもしまっていた。「大したことないんだけど、駅前にもう一件あるんだけどに行く?」と涼は誘うが、「ふん、たいしたことないなら食べたくない。」「わがままだね。」「ちょっと行ったところにおいしいラーメン屋がある。」「たべたいんじゃん。」「別に!」そう言って優子は自分のリュックを涼の運転する自転車のかごに投げ入れて歩き出す。リュックを投げ捨てて先に進む涼。「ちょっとぉ!」リュックを取りに戻る優子だった。
 店に向かって歩いていく途中、駅の脇の踏切内で自転車を止める涼。あわてて優子が自転車ごと引っ張って連れ出すが、そのとき、駅のホームには由紀が立っていたのだった。優子と涼を見つけてあわてて陰に隠れる由紀だった。
 二人でラーメンを食べながら、優子は暑くなったので上着を脱ごうとするが止める。「なんで?やけど?」と尋ねる涼に、優子は無言でうなずく。涼はなぜ火傷の痕が出来たのかを尋ねる。火傷は小さい頃に家が火事になり全て燃えてしまい、両親もそのとき亡くなったのだ、でも、二つが三つの頃の話でありなにも憶えていないのだ、と優子は話す。逆に、あなたのは?と尋ねる優子。傷が出来たのが5歳より前で、父親は5歳の時に交通事故で死に、母親はもともと病気で亡くなっていていなかったから、なんでできたかわからない、と涼は答える。優子はあまりの話にびっくりしつつも、それからどうやって暮らしてきたのかを尋ねてしまう。「そこいく?くらくなるよ。」そう茶化す涼に、「いい、言いたくないならいいよ。」と優子は話を打ち切った。そんな優子を見て、「施設。あんたみたいに兄ちゃんってのがいたらよかったんだけどね。」と涼は答えた。そのまま無言でラーメンを食べる二人。そんな二人を店の外から由紀がじっとにらみつけていた。

 日ノ出署刑事課。三田の女子大生殺しについて考え続けている完三に、琴子が一休みしたら、とお茶を持ってきた。完三は、この間由紀に会った話をする。彼女が今涼とつきあっているんだ、と言う話を聞いて、琴子は「また、あの男の子?フランス料理屋の?そんな気になるの?」と笑う。「火傷の痕があんのや。小さいときにやったらしい。」「なに完ちゃん、25年前の事件の男の子だと思ってんの?まぁさかー、完ちゃん。この世に火傷の痕がある男の人なんて、何万人といるのよ?」「そやよな。」頷きつつも、納得のいかない顔の完三だった。

 駅の踏切。「じゃあ、手紙確かに渡したから。」と言って優子は帰っていった。
 見送る涼。しまっている踏切の向こうには由紀が立っている。電車が通り、涼は優子の後ろ姿を笑いながら見送り、歩き出す。踏切が開いたときには由紀はもういなかった。

 堂島家の前。優子がもどってきて、家に入ろうと鍵を探すが、なんとなく視線を感じ辺りを見回す。しかし誰もいない。気を取り直して家の鍵を開けて家にはいる優子。その姿を遠くから見つめる視線。

 涼の家。壁にもたれ、一人、目を閉じる涼。

 堂島家。雷雨になった空を、窓から優子は見つめていた。すると電話が鳴り、完三が駅まで傘を持ってきてくれないか、と頼んできた。「(電話に)出なきゃ良かったなぁ。」とぼやきつつも、傘を持って出かける優子。その後ろ姿を、女が傘も差さずに見つめていた。
 駅に着くと、自分の差す傘しか持ってこなかった優子に、完三は悪態を付く。怒る優子。それをみて、じゃあたまにはお茶でもしないか?と完三は誘うが、「えー、お兄ちゃんとデートォ。」と優子は乗り気でない。小さい頃は帰りにクリームソーダをおごってもらうのを目当てによく迎えに来てくれただろうに、という完三の言葉に、「久しぶりにクリームソーダ食べたいかも!」と手のひらを返したように優子は乗り気になって、「お兄ちゃん、早く、早く!」と店に向かった。
 「なんか寒くなっちゃったよぉ。」完三と優子は二人で相合い傘をしながらまた軽口をたたき合って家に向かっていた。途中、階段を下りながら、クリームソーダは食べるか?飲むか?を話し合い、階段を下りきったところで優子の靴の紐がほどけてしまう。紐を結ぶ優子。するとそこへ、包丁を持った女が優子に向かって走ってくる。「危ない!」優子をかばって完三が包丁で刺されてしまう。包丁をモツ女の顔を見つめる完三。その女は由紀だった。雨の中傷を押さえながら崩れ落ちる完三。「おにいちゃん!おにいちゃん!おにいちゃん!!」優子が叫びながら完三に駆け寄る。その傍らで呆然と由紀は立ちつくしていた。

空から降る一億の星(ドラマ)第5話のあらすじネタバレ

雨の街角。堂島優子(深津絵里)が宮下由紀(柴咲コウ)にナイフで刺されそうになったところをばって、代わりに刺された堂島完三(明石家さんま)が倒れている。右の二の腕からは血が流れ、優子が完三へ駆け寄って「おにいちゃん!」と叫んでいた。その声に、ハッと我に返り自分がやったことにおののいた由紀は、その場から逃げ出す。優子は救急車を呼びに行こうとするが、その優子の腕を完三が掴み、自分の傷は大したことないから救急車は呼ばなくて良い、と、絞り出すような声で言った。そして、「誰にも言うなよ。」と優子に口止めして、雨の中地面に落ちていたナイフを自分のコートのポケットにしまった。「わかったな?」再び完三は優子に念を押すと、うなりつつつも大丈夫だと繰り返していた。

 西原家の美羽の部屋。西原美羽(井川遥)は外に出してもらえないため、部屋から外を眺めていた。
 片瀬涼の部屋。片瀬涼(木村拓哉)は飼っている白い小鳥を部屋の金網に乗せ、一人出かけようとする。すると足下にぶつかるものがあり、下を見る。それは、会えない悲しさ、苦しさをつづった美羽からの手紙だったが、涼は丸めて捨ててしまう。

 アイスクリーム屋。由紀はいつも通りバイトにはいってアイスクリームを売っていた。そこへ三角巾で腕をつった完三が現れる。完三と目があって目を伏せる由紀。お店の外で二人になると、由紀は両腕を完三に向かって差し出してきた。「なんや?」「逮捕しに来たんでしょ?」返答につまる完三は、ちょっと座らへんか、と、座って話そうと言った。座らずそばの木のところに由紀は立ったままだった。完三は、いま由紀が19歳だと聞き、犯罪者にするには先が長いし、女の子だから・・・と話し出した。「だからかばったの?」と由紀が尋ねるが、完三自身なぜ由紀のことをかばったのかわからなかった。そして完三は三十路のくせにまだ結婚もしていないのだ、と優子の話を始める。「あんた、ほんまは妹のこと刺そうとしとったやろ?」単刀直入に完三が訊いてきた。無言でうなずく由紀。「なんでや?」「いいたくない。」「涼言う奴か?」完三を見つめる由紀。続けて完三は、そのことだったら優子には見合い相手がいるから心配ないと説明する。そのまま無言の由紀。すると、完三は地面に手をついて、「頼むわ。約束してくれ。もう妹に何もせーへんて約束してくれ!」と繰り返し言いながら土下座しておねがいをするのだった。由紀はいたたまれなくなり、完三が見えない位置に移動する。「あかんか?」ううん、と首を振る由紀。由紀は、そんな兄がいる優子がうらやましかったのだった。「兄弟おらへんのか?」と立ち上がって完三が尋ねると、由紀は自分の家は医者でみんな頭がよいのに、自分だけ頭が悪いから邪魔者で、だれも自分にはいないのだと淋しそうに話すのだった。それをきいて、完三は自分でよければいつでも話を聞くから、と由紀を励ますのだった。すると由紀は「約束する。もう妹さんに何もしないって約束する。」と小指を出してきた。「おおきに。」完三は礼を言いながら小指を出して、二人で指切りをした。

 涼の家。涼は、冷蔵庫を開けて、破ったメモ書きを取り出し手のひらで大事そうに暖めてから、紙を開いて中を見て、再び閉じて頬にあてていた。

 『REVE』の厨房。涼が納品された野菜をチェックし、だめなものは向井裕希(金子貴俊)へ返品していた。そこへ怒りながら優子が現れる。そそくさと逃げ出す裕希。優子は、涼が『たぬき』のおばさんへここへ優子に来てもらうように伝言していたのを聞いて、『REVE』に涼を訪ねてきたのだった。「(用は)なに?」という優子に対して、「美羽ちゃんに言っといてくんないかな?家捨てるとかそんなこと考えんなって。いや、こないだの手紙にそう言うことが書いてあったんだけど、カッカしすぎだっつーの。」と笑って涼が話してきた。その話を聞いてムッとし、なぜ家を出て欲しくないのか、美羽のお金が目当てだからか?初めからだますつもりで近づいたのか?と涼に詰め寄る。「ちがうよ。愛してるから。」涼は答える。だったら返事の手紙を書くように涼に勧めるが、涼は字を書くのが苦手、といって取り合わない。「人の気持ちもてあそんだり、傷つけたりするの、楽しい?あなたは誰にも愛されていない。人に心開かないで、人が心を開いてくれるはずがない。」「そんなの生きてく上で必要ねえじゃん。」「じゃ、何が必要?あ、お金だ。ださっ!」「ケンカ売ってんの?」「美羽に伝えないから。相手の100の気持ちに2の気まぐれで答えているようなあなたの言葉、伝えないから。」そう言い残して優子は帰っていった。後ろ姿をにらみつける涼。

 クレー射撃場。美羽は父建造(鹿内孝)、柏木直哉(大澄賢也)と共に、柏木家のクレー射撃場に来ていた。美羽の射撃の腕を誉める柏木。射撃場には3人だけしかいないため、貸し切りのようで申し訳ないという美羽に、「うちの射撃場ですから。」と自慢する柏木だった。そこへ、柏木宛の電話が入り柏木は席を外す。美羽は電話に応対する柏木を見つめながら思わず手の中のライフルを握りしめていた。ふいに後ろから父建造が声を掛けてきた。ライフルから力を抜く美羽。父は、美羽が元気になった様子なので安心した、ということだった。「お父様、わたし、風が抜けたみたいにすっかり冷めてしまいましたの。でもどうしてあんな男に心奪われてしまったんでしょうね?」と美羽は笑って父に話すのだった 。

 由紀の部屋。涼が遊びに来ている。由紀は誤って涼が買ってくれた皿を割ってしまい、とても残念がる。しかしそんな由紀に全く構わず涼は考え事をしている様子だった。由紀は涼のそばに近寄り、優子を襲ったことを話し出す。「まじで?」問い返す涼に対して由紀は、涼の目が優子と話すときにはすごく優しいことに嫉妬したためだと説明した。それに優子ではなくお兄さんをかすっただけだ、と優子は言い訳するが、「刑事やってるお兄さん刺したの?」と目の前に近寄ってきて尋ねた。でも、内緒にしてくれるからだいじょぶだ、でも涼が由紀のそばから離れないでいてくれればもうしない、と由紀は答えている途中で、涼は部屋から出ていってしまった。とまどう由紀一人が部屋に残った。

 涼の自宅への帰り道。涼が一人で歩いているが、後ろを付ける車が1台あった。家の前で一瞬不審に思う涼だったが、車が家の前を行き過ぎてしまったことで、気にせず家に入る。実はその車は、柏木の命令で涼を調べている興信所の車だった。興信所の調査では、涼には複数の女性がそばにいること、仕事はまじめに働いていること、複数の女性とつきあっている様子があるものの部屋には誰も入れていないことなどがわかり、それらはすべて柏木へ報告された。
 コンビニ。仕事帰りの優子がコンビニに寄ると由紀がいた。優子を見て逃げる由紀だが、それを優子が追いかけて引き留め、一緒に定食屋『たぬき』へ連れて行った。由紀の年を知らずに生ビールを注文してしまう優子。手を付けないのを見て始めてそれに気付いてお茶を代わりに注文する。「ごめんなさい。」謝る由紀。「なんで(刺そうとしたの)?」「涼とすごく楽しそうで。一緒にラーメン屋さん行ったり、自転車引いて歩いたり。」それを聞いて、涼と自分は何でもないと優子が説明すると、由紀は、そのことはお兄さんから聞いたし、もうあんなことはしないとお兄さんと約束したから、と申し訳なさそうに言った。「そっか。」ほっとした笑いを見せる優子。しかし由紀としては、涼と優子が何を話したかが気になるらしく、二人で何を話していたかを優子に尋ねる。優子は、自分たちのそれぞれの生い立ちの話や、お互い同じ様に火傷の痕がある話をした、と答えた。そこへ、キムチチゲが来る。「食べよう!」そういう優子に向かって、由紀は火傷の傷を見せてくれと頼んできた。「いいよ。」優子はそう言って、袖をまくって左腕の傷を見せた。そのとき優子の携帯がなる。優子は話をするために、ちょっとごめんね、と言って席を立ち店の外へ行った。グツグツ煮える鍋を見つめながら、涼と優子のことを考える由紀。すると由紀は煮え立った鍋の中身を自分の右腕にかけたのだった。驚いて止める『たぬき』のおばさん。その騒ぎを聞きつけて優子が戻ってくると、鍋は床に落ちて割れ、中身は散らばっていた。
 病院。優子が付き添って由紀は病院に行き、そこへ完三と杉田琴子(森下愛子)も駆けつける。傷の方は応急処置をして傷は大したことはないが、精神的に興奮している、という医師の話だった。処置室へ医師と共にみんなで行ってみると、ベッドの上で暴れて看護師に取り押さえられている由紀がいた。「何で手当なんかしたのよ!火傷の跡残してほしかったのに!!」完三はそんな由紀に近づき、抱きしめて、「だいじょぶや。」と言い聞かせて挙げるのだった。落ち着く由紀。そんな姿を見て、ここは完三に任せて優子と琴子は先に病院から帰ることにする。

 涼の部屋。相変わらず茶色のメモ書きを大事そうに広げては畳む涼。

 病院の待合室。薬ができあがるのを完三と由紀で待っている。完三は由紀にコーヒーを手渡す。完三はなぜこんなことをしたのか、涼と一緒になりたかったのか?と由紀に尋ねた。すると、「こわい?私怖い?危ない子だと思う?」と由紀は逆に質問してきた。笑い出す完三。「こわないで。俺が怖いのは、細長ーい豚かな?あとは出世をあきらめたサラリーマンくらいかな?」ほほえみながら由紀は、もうひとりでだいじょうぶだからいい、と完三に言った。完三は「もうちょっとええやろ。それとも涼言う奴呼ぶか?」と言うが、由紀は涼はきっと来ない、あたしの他にもきっと女の人いるし。と答えるのだった。さらに、自分は1番でも2番でもきっとない、でも1番でも2番でも100番でもいい、ちょっとでも好きでもらえたらいいのだ、いつも涼にそう言うと涼は自分に優しくしてくれる、だからいいのだ、と由紀は遠くを見つめながら言うのだった。すると完三は、だれかの一番にならないとだめだ、君はきれいなんだから、きれいな手に傷なんか作ってはだめだ、と諫めた。「一番になりや。」そのせりふを聞いて、由紀の涙が目からあふれ出した。その涙を見た完三は、「薬をもらってくるわ。」と言って席を立った。

 『REVE』の厨房。仕事中の涼の所に、由紀から電話がかかってきた。仕事中に電話してくるなと言っただろう、といらつく涼に対して、「ねぇ、涼。あたしのこと好き?一番好き?」と聞くが、涼は「もう忙しいから切るよ。」と相手にしない。すると、「もう知らないからね。もうみーんなしゃべっちゃうから。」「何言っての?」「バイバイ・・・」電話を切る由紀。考え込む涼。

 日ノ出署。給湯室では、完三が後輩の溝口刑事(林泰文)と共に昼食のかけうどんを作っていた。するとそこに琴子が、下に完三のお客が来ていると伝言しに来る。下に下りてみると、婦人警官と楽しそうに談笑する涼の姿があった。完三に笑いかける涼。完三は涼に近づいていき「なんや?」と尋ねた。涼は別に用はないが、警察の中に入ったことがなかったからから来てみた、と答えた。「(警察は)こういうとこや。茶でも飲んでくか?」という完三の誘いを涼は断り、出口に向かって歩き出した。後ろから涼を追いかけながら、うどんは?と更に完三は誘うが、これも涼は断り、うどんが作れる位腕が良くなったんだ、と返してきた。「由紀が刺したんでしょ?ごめんね。」「君が謝ることない。」「何で捕まえないの?」「たいしたことなかったからなぁ。」ここまでですでに涼は警察署の出口付近まで来ていた。「おい!」完三は改めて涼を呼び止めてそばに歩いていき、由紀のことを本気で考えてやれ、まじめに生きたらどうだ、と助言する。
 「がっくり。つまんない大人と一緒じゃん。ま、仕事がんばって、ね。」そう完三の耳元でささやいて涼は帰って行った。残った完三は、「ふんっ!」と立っていた。居室に戻ると、完三がいない間に女の人から電話があったと、琴子から聞かされる。名前は言わなかったというが、完三には相手に思い当たる節があった。

 街角。優子と日下はデートで映画を見て、街を歩いていた。日下は、優子と肩を組んだり、手をつなごうといろいろ試みるが、優子はまったくそのことには気付かずに質問する。「日下さんは、映画とかお芝居以外で泣いたりしますか?」突然の質問に戸惑う日下。優子は気にせず、「やっぱり、自分の心を開かないと相手の心開いたり出来ないですよね?」と続ける。「そうですね。」とりあえず笑顔で話を合わせる日下だった。そこで信号が青になり、日下は優子の手を取って歩き出そうとする。思わず引いてしまう優子。その様子を見て日下はパッと手を離して、話を変えて歩き出す。優子は、その後ろ姿を淋しそうに見つめるのだった。

 コンビニ。デートの帰りに優子はコンビニに買い物に寄る。すると、涼が現れて挨拶してきた。「久しぶり。」「そうね。」冷たくあしらう優子。その冷たい対応を受けて優子から涼は離れた。それを追いかけて「ねぇ、美羽に連絡した?」「したって取り次いでもらえないでしょ?」「じゃ、手紙は?手紙渡して挙げるよ。書いた?」「書かねえよ。」苦笑いする涼。ムッとした優子は、「じゃあ、やっぱあの子好きなんだ。由紀さんだっけ?」「べつに・・・」それを聞いて、この間の由紀の火傷の話を振るが、涼はまったく由紀の話を知らなかった。驚く優子は、本当は誰が好きなのか、思わず尋ねてしまう。すると、優子を指差した。「あなた。」さらに驚く優子。「でもいいけど。」と涼は続けてニヤッと笑った。ついに切れた優子は、涼が鳥の餌を買いに来たのを見て、涼は鳥オタクで人より鳥が好きなんだ、となじって涼から離れていった。涼は優子を追うようにして近づき、今日なにかあったのか?と尋ねた。
 それは優子がミニスカートを履いていたからで、そんな優子のことを涼は「いい感じじゃん。」と誉めたのだった。フンッとそんな涼の台詞を無視して優子は店を出ていった。涼が買い物に戻ると、その姿を店の外から見つめる優子だった。

 定食屋『たぬき』。優子はさっきコンビニで買ったおにぎりを持ち込んで、『たぬき』で一杯やっていた。
 『たぬき』のおばさんにもミニスカートのことをつっこまれ、デートかと聞かれる。思わず照れる優子。しかし、優子は今ひとつ気が晴れなず、一人考え込むのだった。お店の外を見ておばさんが、優子を呼んだ。
 「ちょっと、優子ちゃん!あららら、まっ。」店の外をのぞき込む優子。

 涼の部屋。涼が戻ってくると、部屋のどこにも小鳥がいなかった。買ってきた餌を放り出して、外に探しに出る涼。部屋のあるビルの屋上から下を覗くが見つからない。あきらめて部屋に戻ろうとすると優子が現れた。不審な目で涼は優子を見つめる。すると、「これ!」『たぬき』に来ていたのは涼の小鳥で、それを優子は涼まで届けに来たのだった。「また逃げちゃうかもよ。鳥かごは?」「中。」それを聞くと、「入って良い?」と聞きながら優子は涼の家に入っていった。後ろ姿を見つめ、追いかける涼。

 日ノ出署居室。うどんを食べながら一人残業する完三。食べながら、一人考え込む。食べ終わったあと、給湯室でどんぶりを片付ける。その間も考え込み続ける。
 涼の部屋。優子が小鳥をかごの中へ戻した。餌をあげる涼。優子は鳥に優しく話しかけるのだった。一段落したところで、優子は立ち上がってふと涼の部屋の中を見回す。涼は人が来ないからこの部屋はなにもないんだと説明する。「それに、鳥オタクだし。」
 優子は、一人でこんなだだっ広いところに住むのはどういう感じなのかと涼に尋ねた。「鳥かごに鳥入れる感じ。で、そのまま心に鍵をかける。うれしくもないし、かなしくもないし、人に期待なんかしないし、信用しないし、愛さない。だから傷つかない。」涼は自分の心の持ち様を素直に吐露した。それに対して優子は、「半径15cmの心だ。鳥かごの中。飛びたいのに飛べない。飛び方忘れちゃった?」「あんたといると、ほんといい感じにむかつくんだよ。」涼はそういって顔を逸らして考え込む顔をするが、思い直して「でもほんとは、まだ飛びたいと思ってるかも。」とさらに素直に話した。それを聞いてほほえむ優子。
 「かごの中の鳥ほど、青い空にあこがれるんだよね。自由に飛んでる鳥よりも。」優子は、心を開かない人ほど人に愛されたがっている、と言いたいのだった。優子は帰ろうとして立ち上がる。涼は、完三が自分のことを殺人犯だと疑っていることを知っているのか尋ねる。「へえー。」そう言いながら涼の目の前に戻ってきた優子は、自分は自分の目で見たもの、自分が感じたことしか信じないから、そう言って、涼に触れるのだった。涼はその手を掴み、「じゃあ教えてよ。あんたから見た俺ってなに?」そういう涼の唇にさらに触れ、キスをする優子。「答えになってないじゃん。」そう言った後、涼は優子にキスをし、二人は抱き合うのだった。

 日ノ出署居室。煙草を何本も吹かしながら考え込んでいた完三だったが、重い腰を上げて帰ろうと廊下に出る。すると、廊下には由紀が立っていた。「どうした?今日電話してきたん、君やな?なんや?」「聞いて欲しいことがあって。ほんとうのこと、やっぱり言わなきゃいけないんじゃないかと思って・・・」ふぅ、と大きくため息を付いて、完三は由紀に向かって歩いていった。

空から降る一億の星(ドラマ)第6話のあらすじネタバレ

日ノ出署刑事課。宮下由紀(柴咲コウ)が本当のことを話したい、といって、夜中に堂島完三(明石家さんま)を訪ねてきた。「どうぞどうぞ。」といって完三は居室内に由紀を招き入れた。「座りいや。」完三が居室のソファに座るように勧めるが、由紀はなかなか座ろうとしない。「すわりいや。」再び勧めるとおずおずと由紀はソファに腰をおろした。それをみて、「ジュース持ってくるわ。」と席を外す完三。由紀はソファからその後ろ姿を見て、まだ迷っているような表情を浮かべていた。
 ジュースを取りに廊下を歩いていると、目の前に杉田琴子(森下愛子)が現れた。「ねぇ、あの子やっぱり事件になんか関係あるの?」そう問いかける琴子に、完三は「はっ、何を言うとんねん、関係ないがや。」と笑って通り過ぎていった。完三の後ろ姿を見つめる琴子。

 涼の部屋。キスの後、片瀬涼(木村拓哉)から堂島優子(深津絵里)は離れると、お互い何を話すわけでもなくボーっと立っていた。「チュッ、チュッ。」そんな二人の間にいる小鳥が鳴き、小鳥をあやしに優子は鳥かごへ近づく。その姿を見つめる涼は、「ずっといれば?」と優子を誘った。
 「いま、自分を試すために言ったでしょ?」ずっと一緒にいれば?という問いは、本気ではなく自分がそう言ったときどういう気持ちになるかを知りたくて言ったんだ、と分析する優子対して、涼は、なぜ自分のことがそんなにわかるのか?と素直に疑問をぶつけた。「あてずっぽ。わかる振りしたいだけ。」優子の答えに、涼は明らかに落胆した表情を見せた。そんな涼の表情に、いたたまれなくなった優子は、「帰る、今日は。」そう言って部屋を出ようとする。「今度は泊まるって事?」そう訊く涼に、優子は「もう来ないよ。」と言い、涼の「そっ。」という答えを聞いて部屋を出ていった。その背中を見つめる涼。
 優子は、部屋の外であるビルの屋上で空を見つめ、「はぁ。」とため息を一つついて歩き出した。

 日ノ出署刑事課。ソファで一人待つ由紀に、琴子がコーヒーを出した。完三はジュースを買いに行っているが、わたしはコーヒーの方がいいと思って、とのことだった。無言で頭を下げる由紀。うつむいて完三を待ち続ける由紀の後ろで、琴子はボイスレコーダーを取り出して、ソファに一番近いデスクの引き出しにこっそり録音状態のまま入れた。引き出しは半開きのまま、「すぐ、戻ると思うから。」そう言い残して琴子は部屋から出ていった。その後ろ姿を振り返って見る由紀。すると、引き出しが半開きになっていることに気付く。由紀は立ち上がって引き出しのそばへ行き、ボイスレコーダーの存在に気付いてしまう。「おまたせ。」しばらくしてジュースを持って完三が戻ってくるが、居室にはもう由紀の姿はなかった。居室を見回すと、机の上に、ボイスレコーダーのテープが引き出されているのを見つける。
 すべてを悟った完三。「琴ちゃん、アホやなぁ・・・」あきれた顔をしながら、完三は急いで由紀を探しに部屋を飛び出した。

 翌日の日ノ出署刑事課。昨日のボイスレコーダーの件を、完三は琴子に問いつめていた。琴子は気を利かせたつもりだった、と言うが、完三は、彼女と自分は個人的なおつきあいで話に来ただけなのに、と諫める。
 「なに?個人的なおつきあいって!」筋違いなところで逆に完三に喰ってかかる琴子。もめているところに、課長から完三に呼び出しがかかる。「なんでしょう?」と課長のデスクに行き完三が尋ねると、完三が警備に異動の内示が出た、というお達しだった。おどろく琴子や後輩の溝口(林泰文)。課長は、君はもうここには必要ないんだよ、それに自分が異動を希望していたんだから、念願かなっただろう?と、完三がいなくなることを歓迎する発言をするのだった。「そう(異動は希望したもの)なの?」琴子が完三に尋ねるが無視して、いつ異動か?と課長に尋ねた。次の定期異動で、と話が進む中、琴子は、ちょっと待って欲しい、完三は刑事の勘みたいなものがあって、ここにはなくてはならない人なんだ、と課長に力説するが、もう決まったことだ、と一蹴される。

 涼の家。一人座って、肩の火傷の傷を触りながら、昨日の優子の台詞を思い出していた。「かごの中の鳥ほど、青い空にあこがれるんだよね。」「(心を)開かない人に限って、人に愛されたがってる。」さらに考え込む涼だが、しばらくすると、立ち上がって部屋の電気を消して出ていった。

 日ノ出署。「異動願いって何よ?」琴子は完三に喰ってかかるが、完三は、もうそろそろ刑事は良いかと思って、どこかの交番にでも行きたかったが、まさか警備とは・・・と漏らすのだった。ますます納得のいかない琴子。

 バー『パズル』。涼は向井裕希(金子貴俊)のバイトしているバー『パズル』に来るが、来る途中で自分が誰かにつけられていた、と裕希に漏らす。つけていた相手を捜そうと、裕希は店内をキョロキョロする。
 「あっ!」裕希が指さした先に由紀が立っていた。笑いながら由紀を自分の所へ呼ぶ涼。その姿を見て、由紀は一直線に涼に駆け寄ってきて抱きつく。「どうしたの?」涼が優しく尋ねると、由紀はキスをして、抱きついた。

 由紀の部屋。ベッドの上で涼と由紀は抱き合いながら、由紀が話した。「やっぱり、私には涼しかいない。それがよーくわかったの。由紀、涼のためなら何でもするよ。」そう言う由紀を抱きながら、涼は考え事をしていた。

 街角。優子は見合い相手である日下圭太(八嶋智人)とのつきあいを断る返事をした。なぜかを訊きたがる日下に、言いづらそうにしていた優子だったが、日下が勝手に自分のせいだと先走るので、結局他に好きな人がいると、言ってしまう。それを訊いて納得する日下。相手の人は優子のことを好きなんですか?と尋ねる日下に、「さぁ・・・」としか優子は答えられないが、「好きだと良いですね。優子さんが幸せだといいです。」そういって日下は笑ってくれたのだった。

 由紀の働くアイスクリーム屋。完三が尋ねてくる。この間のことを説明しようとする完三に対して、由紀は怒って大きな音をバンバン立てて聞こえない振りをする。「そのためにやさしくしたの?私から何か聞き出そうとして、そのために優しくしたの?」由紀は完三に問いただした。あきれる完三。そうじゃなきゃ、わたしなんかに優しくするわけがない、捜査のためじゃないのか?完三を刺したときに捕まえなかったのも、わたしを泳がせてなにか探るためだったんじゃないの?とさらに問いつめる由紀。完三は、「自分に訊いてみるわ。」と独り言を言いながら考え始める。その結果、5%そう言う気持ちがあったと白状する。そして、そんな自分のことを、中途半端な人間だ、あかんな。と言うのだった。
 しかし、刑事を首になって辞めるため、もうこれで最後だから、と別れを告げる。驚く由紀に完三は、「これでも、あんたの後を付けたりもせーへんから安心し。それじゃ。」そう言って立ち上がった。複雑な表情で立ちつくす由紀。出際に完三は振り返り、由紀がさっき”自分なんか”と言う言葉を使ったが、もっと自分に自信を持て、君は若いし、不器用だけれどまっすぐなんだから、これからどこでも好きなところに行けるんだ、これからなんだから、と由紀を諭して出ていった。涙をためて見送る由紀。

 西原家。柏木直哉(大澄賢也)と出かける、と美羽は言って家を出る。しかし、美羽は途中の洋服屋でカジュアルな服を買って着替え、自分の着てきたスーツは店に処分してもらうように頼んだ。
 「私、家でたの。」美羽は、ホテルの一室から、『REVE』へ電話し、涼に自分が部屋を出たことを告げた。
 「えっ?!」驚く涼をよそに、美羽は家も何もかも捨てて、すごく自分が軽くなったとウキウキしていた。
 今日会いたいから、自分のホテルに仕事から上がったら来て欲しいと、美羽は涼に頼むのだった。

 堂島家。優子は、美羽に連絡を取ろうと電話をするが、ちっともつながらなかった。そこへ、風呂上がりの完三が出てくる。耳掻きがないと、騒ぐ完三を、美羽のことを気になって仕方ない優子は上の空であしらうのだった。

 美羽のホテルの部屋。仕事を終えた涼が会いに来た。「会いたかった。」と美羽は涼に抱きつき、部屋に招き入れるのだった。

 堂島家のリビング。完三と優子で夕食を取っていた。なんとなくぎこちない雰囲気が漂っている。完三は日下とのことを優子に尋ねるが、優子は、べつに普通だけど、と答える。優子は日下と別れたことを完三に話せずにいた。また、なにか言いたそうな完三に、優子はなに?と尋ねるが、完三は警察を辞めたことを言えずにごまかすのだった。

 美羽のホテルの部屋。ゴージャスな部屋を涼は見回す。美羽は、「家も捨てたわ。これからはずーっと一緒にいられる。」とつぶやく。そんな美羽に、涼は「ずっと一緒だよ。」と言って抱きしめた。

 『REVE』。柏木と姉の小百合(とよた真帆)が食事に来た。仕事中の涼を呼び出す柏木。周りの同僚シェフたちは、あの柏木グループの御曹司とお嬢様と涼が知り合いであることに驚く。柏木の席に行き、「何か用ですか?」と涼は尋ねる。柏木は、「やっぱり君か。いつぞやは失礼した。」と話しかけてきた。美羽の船上での誕生パーティーのときのゴタゴタを思い出す涼だった。さらに、柏木は姉の小百合を涼に紹介した。「こんばんは。」興味深げな笑顔で小百合は涼に挨拶した。柏木は、彼と会ったきっかけは美羽の船上パーティーでのことだとさらに説明する。「お嬢さんは元気か?」と柏木はカマを掛けるが、「さぁ。」涼は何喰わぬ顔で流した。柏木は続けて涼がケータリングで船に来ていたことを説明すると、小百合は、今度ホームパーティーをお願いしようかしら、と笑顔で話すのだった。「いつでも。なんなりと。」そう笑顔で涼も返して厨房へ戻ろうとした。すると、小百合が、「今日はあなたのお料理いただけるのかしら?」と屈託無く尋ねるが、彼は下っ端だからと、柏木は嫌みを言い、食事の手始めとしてシャンパンを持ってくるように涼に言いつけた。涼は厨房にもどり、ソムリエにシャンパンの注文を伝言した。
 柏木がトイレから出ると、廊下で涼と出会う。「よう!」声をかけてくる柏木。「おれさ、おもしろいこと聞いちゃったんだよなー。」と話を始める。三田の殺された女子大生が涼とつきあいがあったらしいことを、柏木のホテルの従業員で見た奴がいる、と涼に話を振ってきた。それを聞き、うなずきながら「あんただ。」と笑う涼。「あんたもいろいろ嗅ぎ回らないで、直接俺に訊きゃいいじゃん。」と柏木の目の前に立った。そんな涼をあしらうかのように、柏木は美羽さえ俺の所にいればいいんだよ、と言って涼の頬をペチペチ叩くと、席へ戻っていった。涼は、柏木の背中を見送り、いま叩かれた頬を手で拭うのだった。

 定食屋『たぬき』。完三が阪神戦のテレビ中継を見ながら一人で一杯やっていると、美羽が店に入ってきた。完三の姿を見つけて逃げようとする美羽。お店のおばちゃんが、「中空いてるよ!」とかけた声で完三は入口を見て、美羽が逃げようとしたことに気付く。「美羽ちゃん!逃げんでもええやないか。」と美羽に話しかけに立ち上がる。美羽は涼との待ち合わせでこの店に来たのだった。それなら、とテーブルへ座るように完三は勧めた。カウンターに座る完三の後ろのテーブルへ一人で座る美羽。「完三さん、わたし、」と涼の話をしようとする美羽だが、それを制止するように「もうええわ。」と完三は答えた。二人は顔を合わせないまま話を続けた。完三は、美羽ももう大人だし、涼も実はいい奴も知れない、刑事の勘で涼を怪しいと思ったが、自分にはそんなものは初めから無かったのかも知れない、と語り始めた。美羽の方を振り返り、「そや、美羽ちゃんもあるやろ?こう、自分で自分のことすごいなぁ、と思ったけど、ある日、そうでもないで、てな。そんなのないか?美羽ちゃんはないか。立派な娘さんになったなぁ。」とさらに完三は自分の今の気持ちを美羽に話すのだった。
 すると、そこに涼が現れる。「じゃま?」二人の間に立って訊く涼。完三は、そんな訳ない、と否定して、涼に席を勧める。完三はお勘定を頼む。お勘定を待つ間、涼は席を立って完三の横でコップに水を入れるが、そのときに、「三田の女子大生の事件、どうなったの?」と完三に話しかけて、横に座る。「あれな、まだや。」完三は正直に答えた。美羽を気にしながら小声で、「まだおれのこと、疑ってんの?」涼は尋ねると、「まあな。」とまた正直に答えた。そんな完三の様子を見て、涼は今日はいつもと違う、とつっこむ。「悪かったな、いままで。うっとおしかったやろ。もうせえへんから。」「なに急に。気持ちわりい。」「刑事やめんねん。」だまって完三を見つめる涼。さらに完三は続けた。「悪魔の目やと思っとったけど、きれいな目やな。天使の目や。お先、ほいじゃな。」お釣りをもらうと完三は席を立って帰っていった。涼は、美羽の前では笑顔で完三を見送るが、振り返って美羽の目の届かないところで真剣な表情で考え込んでいた。

 バー『パズル』。美羽と一緒にビリヤードを楽しむ涼。こういうところは初めてだと言ってはしゃぐ美羽に、裕希はカクテルを持ってくるのだった。そんな美羽とは裏腹に、涼はさっきの完三のことを思い返していた。

 堂島家のリビング。優子はまた美羽に連絡を取ろうとして携帯に電話するが、相変わらずつながらず留守電になってしまう。仕方なく、話したいことがあるからまた電話する、旨の伝言を入れた。

 柏木家。涼は柏木家にケータリングサービスに来た。小百合は、涼に声をかけて料理を運ぶ先を指示する。準備の途中で、活けてある花が乱れているのを直す涼。そんな姿を小百合が見ていた。見られていることに気付いた涼は、話を変えようとして、柏木グループのレストランチェーンの記事を見た話を振る。小百合はそんな涼に、あなたがやらないか?と誘う。そういうのは興味がないから、と断る涼に、ああいうことは勉強ではなくてセンスだから、とさらに誘う小百合だった。そこへ柏木が現れる。小百合宛に電話があったことを伝え、立ち去る小百合。涼はそのままパーティーの準備に戻ろうとするが、柏木が追いかけてきて、最近また美羽と連絡が取れない、と美羽の話を振ってきた。「どうしてだかしらない?」とカマを掛ける柏木に、「さあ。」と涼。「まさか、また君とつきあってるんじゃないよね?」「・・・・」柏木は涼が準備している皿の肉を一口食べるながら、「俺言ったよね、おじょうさんから手を引いてくれって。どうせ金目当てだったんでしょ?」と言いながら、食べかけた肉をポイッと皿へ投げ戻した。「わかります?」予想外の答えに柏木は涼を驚きの目で見つめた。「あそっか、同じっすもんね。最近ね、家捨てて俺と一緒になりたいとか言い出してて、正直困ってんですよ。何の意味もないじゃないすか、それじゃ。彼氏なんだから何とかして下さいよ。なんか最近欲求不満らしくて、こないだもうちも厨房で・・・」柏木は思わず涼を睨んだ。そこへ小百合が戻ってきた。「失礼します。」と言って涼はまた準備へ戻っていった。

 車の中。美羽は母に家へ連れ戻される所だった。「どうしてわかったの?」美羽は尋ねるが、原因は美羽が家を出てからの支払いを西原家のカードでしていたせいであり、そのことを母から「あなたはどうしたっておじょうちゃまなんだから。それにふさわしい人生を生きるの。用意された人生を生きるの。」と叱責されるのだった。

 クレー射撃場。柏木と美羽の父建造(鹿内孝)が射撃を楽しんでいた。

 西原家の美羽の部屋。そのころ美羽は家に一人でいた。そこへチャイムの音が鳴り、玄関へ行くと、涼が一人で立っていた。招き入れて抱きつく美羽。美羽は家政婦のカヨも用事を言いつけて追い出し、一人で家におり、涼を呼びつけたのだった。「どうしよう、涼。」美羽が言うには、父がもうすぐ柏木と射撃から戻ってきて、そこで二人の結婚話を具体的にしようとしているから、それまでに涼とのことを話しておきたかった、と言うことだった。のどが渇いたという涼の言葉に、何か飲み物を取りに出る美羽。部屋に一人残った涼は、部屋の中にあるクレー射撃の銃を見つめていた。

 クレー射撃場の出口。美羽の父建造と柏木は一緒に西原家へ向かう予定だったが、建造が急に用事が出来たため、先に柏木一人が西原家に向かうこととなった。ついでに建造の銃も柏木に託された。美羽と二人っきりになれることを事を考えてにやけながら柏木は一人で車を運転する。

 西原家。涼は、柏木が自分の店のVIPであるために、このままでは店を辞めさせられるかも知れないこと、あとを付けられたりもしていることから、下手をしたら命まで危ないかも知れない、と美羽に話す。「まさかっ!?」と焦る美羽。そんな美羽に対して、涼はしばらく離ればなれになろう、と提案する。しかし美羽は、そんなことを言っていたらこのまま離ればなれになってしまうからイヤだ、とごねる。「美羽!だいじょぶだから。」涼はそう言って美羽を落ち着かせた。呆然とする美羽は、「柏木さんがいなかったら、あの人さえいなかったら一緒になれるの?」そう独り言を呟く。「当たり前でしょ、おれらこんなに想い合ってるんだもん。」そう答える涼に美羽は寄り添い、遠くを見つめて何かを決意したようだった。
 一人西原家を出ていく涼。

日ノ出署刑事課。感慨深げに居室内を見回す完三。そこへ同僚が荷物を積めるための段ボールを持ってきてくれる。

 西原家。到着した柏木を美羽が迎え、美羽の父建造が用事を済ませに行ったために先に一人で来たこと理由を説明する。美羽は「そう。」とだけ答える。そんな美羽に、「汗かいちゃったな、シャワー借りても良いかな?」と曰くありげに柏木は尋ねるが、美羽は「その前にお話ししておきたいことがあるんですけれど。」と柏木を引き留めた。「話?なに?」「わたし、あなたとは結婚できないわ。好きな人がいるの。その人と想い合ってるの。一緒になりたいの。ううん、一緒になるの。」と美羽は自分の気持ちを柏木に話し出す。「あのフランス料理屋の見習い?」「そうよ。」そう言う美羽に向かって、柏木は、この間涼に会って話したら、美羽の事はもう邪魔で、元々財産目当てで近づいたのに、家を出られたら何の価値もない、と言っていた、とそのまま告げ口する。「そんなのひっかかんない。」と本気にしない美羽だが、柏木は自分の方がひっかかっている、あいつは他にも女がいる、家を出たら自分には何の価値もないんだ、とさらに追い打ちをかける。柏木が立ち上がりふと美羽を見ると、美羽は先ほど柏木が持って帰ってきた父のクレー射撃の銃を持って立っていた。

 バー『パズル』。裕希とビリヤードに興じる涼。その最中、涼はキューを裕希に向けて銃を撃つまねをする。焦る裕希を涼は笑い、二人は再びビリヤードに熱中する。

 西原家。銃を持って立つ美羽に向かって、柏木は、「なーにやってんだか。そうそう、『REVE』の厨房で愛し合ったんだって?彼に聞いたよ。」「これ以上しゃべらないで。汚い言葉で汚さないで、私たちのこと!」そう言って、美羽は柏木に銃口を向けた。銃には弾が入ってないんだろう?とたかをくくっている柏木に対して、美羽は、父はたまに弾を抜き忘れるから、今持っている銃に弾が入っているかどうかは私にもわからない、と言ってさらに柏木に銃口を近づける。「ふざけないでよ。僕は君を愛してるんだよ!」そう言いながら後ずさる柏木を、さらに美羽は銃口を向けながら追いかける。「俺とどっちを信じる?」「彼を愛してるの。女は愛してる人を信じるの。」ねらいを定める美羽。「それ、弾入ってないでしょ?」「神様にお祈りしてみれば?あなたの人生、ついてるかどうか。」そう言って美羽は引き金を引いた。飛び散る花びらの中、崩れ落ちる柏木。

 日ノ出署刑事課。完三は、段ボールに三田の女子大生殺人事件の資料を放り込んでいく。ビデオラックの写真で手が止まり、再び写真に見入る。しかし、思い直して段ボールにまた放り込んだ。完三は全てを放り込んだ段ボールに”廃棄”と書いて、上着を着て署を出る。

 西原家。血を流して倒れた柏木を前に、座り込む美羽。

空から降る一億の星(ドラマ)第7話のあらすじネタバレ

バー『パズル』。向井裕希(金子貴俊)とともに、ビリヤードに興じている片瀬涼(木村拓哉)の所に電話が入った。「どうしよう。殺しちゃった。わたし、柏木さんを殺しちゃった。」という西原美羽(井川遥)からの電話だった。しばらく真剣な表情で遠くを見つめて考え込む涼だったが、おもむろに受話器に向かってキスして電話を切る。さらにキューで手玉を叩くと、白球は転がってポケットに落ちた。

 西原家のリビング。涼が訪れると、柏木直哉(大澄賢也)が血を流して散らばった花びらの中で倒れていた。涼はしゃがんで見開いている柏木の目を閉じさせた。右を見ると美羽が呆然とした顔で座り込んでいた。美羽に近寄り声をかけた。「だいじょうぶ?」「涼!」涼の姿を見るなり取り乱す美羽を、涼は落ち着かせて、次の行動として、屋敷の向かいのホテルでシャワーを浴びて硝煙反応を消すように指示した。するとそこで、美羽の携帯電話が鳴る。焦って出ようとする美羽を制止して、涼は電話を取り上げた。「しーーっ。」静かに黙るように涼は美羽を落ち着かせた。

 堂島家の優子の部屋。美羽の携帯電話に電話をしたのは堂島優子(深津絵里)だった。留守電になってしまい、電話を切る優子。

 西原家のリビング。涼は、ここにはいなかったと誰に何を聞かれても答えるように、と美羽に釘を差して家を出るように言う。涼も一緒に、と美羽はだだをこねるが、「早く!だいじょぶだから。」と涼は怒鳴って美羽を送り出した。
 一人残った涼は、床に落ちている銃を拾い上げて、隣の部屋のソファへ腰をかけた。弾が二発込められいることを確認すると、一度は柏木の頭にねらいを定めて銃を構えた。しかし、ねらいを窓ガラスの方へ向けると、一発銃を発砲した。すると、涼の肩の傷がうずき、フラッシュバックが起こった。
 --- パズル、沸き立つヤカン、構えられた銃 ---
 すぐに現実に戻った涼は、銃を放り投げた。
 警察が到着する。現場検証が進む中、涼が傍らで立っている。刑事の一人が、「君がやったのか?」と尋ねてきた。涼は、無言で両腕を差し出した。
 西原家の外。野次馬やマスコミでごった返す中、涼を乗せた警察の車が西原家を後にした。野次馬の中には、半泣きの美羽もいて、心配した表情で車を見つめていた。

 翌日の堂島家。朝食を食べていると家の電話が鳴った。電話に堂島完三(明石家さんま)が出た。「なんや、琴ちゃん。え?なんやて?それで?」大声にびっくりして、優子は振り向いて完三を見つめた。

 白金台警察の取調室。涼の取り調べが行われていた。刑事は、二発の弾の角度が異なること、銃は美羽の父である西原建造(鹿内孝)のものであるにもかかわらず、涼の指紋しか残っていないこと、現場から逃げもせず連絡してきた涼がどうして指紋工作をしていることから、他に誰かいたのではないか?と質問した。
 「じゃ、あの」涼が何かを答える素振りを見せたため、メモを取ろうと刑事がするが、涼は「カツ丼とか食べさせてもらえないんですか?」と相手にもしなかった。「ふざけるな!」

 優子の職場。テレビで事件が報道されているのを会社の同僚は見ていたが、優子はその輪には入らず自席からテレビを遠巻きに見ていた。すると、優子の携帯電話が鳴る。電話の相手は完三だった。完三は優子に、じっとしておけ、動くな、と釘を差してきたのだった。「悪魔がようやく動き出しおったんや。動くとな、餌食にされるぞ。」

 西原家の美羽の部屋。真っ暗な部屋で、床に事件に関する報道をした新聞をまき散らしたまま、美羽は窓辺で呆然と座り込んでいた。

 白金台警察の独房。一人座り込む涼。涼はフラッシュバックした記憶をきっかけに、全てを思い出していた。
 --- パズルを一人組み立てる少年の頃の涼。すると、隣の部屋で銃声がする。驚いて扉を開けて隣の部屋を覗くと、銃を構えた男が立っており、その足下に涼の父が倒れていた。傍らでは、ヤカンが沸き立っていた。「お父さん!」叫ぶ涼。 ---
 涼は再び一人考え込むのだった。

 西原家の美羽の部屋。美羽によって全てをしたためた手紙が残されていた。柏木直哉を殺害したのは自分がやったことで涼は無実であり、全て自分のせいだ。涼は自分をかばってくれたのである。それを身をもって証明するため、また、人を殺した罪の償いとして、自分の死を選ぶと書かれていた。さらに、最後に、涼を本当に愛していた、今も愛している、と付け加えられていた。
 美羽はゲームセンターで一人ゲームに興じ、公園でクレープを食べ子供と遊び、街を徘徊し、そして、ビルの屋上から飛び降りた。連絡を受けて崩れ落ちる優子。また、くやしがり壁を拳で叩く完三。
 白金台警察の取調室で連絡を受けた涼は、下を向いてしまった。しかし、下を向いたその顔には、微妙に笑みが浮かんでいた。

 白金台警察署。涼は釈放されて、警察署から一人出てきた。そこに完三が現れる。「話長い?だったらコーヒー一杯おごってよ。」涼はそう言ってきた。
 近くの公園で、完三は涼にコーヒーを渡して二人は話し始める。「お前が美羽ちゃんに柏木を撃つようにし向けたやろ?」完三は直接疑問をぶつけた。「まさか。」笑って相手にしない涼に、完三は更に細かく説明した。柏木を撃った美羽をかばって自分がやったことにしてあげたのも、簡単な現場工作をしてそれに警察がだまされずに疑いを持つと言うのも、美羽がほんとうに涼が自分をかばってくれたと思って遺書を残して死ぬというのも、すべて計算尽くでやったことだろう?と言うことだった。それでも涼しい顔で涼は煙草を吸い続けていた。「たばこ、うまいか?」それに笑ってうなずく涼にカーッとなった完三は、涼の口から煙草を取り上げて胸ぐらを掴み、「美羽ちゃん、死んどんねやぞ?人一人死んどんねや。あほんだらっ!」と怒鳴るのだった。そんな完三に、確かにおもしろいんだけど、詰めが甘い、と涼は言うのだった。冷静になる完三。
 「法律的には犯罪にはならんのよ。みんなあんたのために人を殺す。自分の意志でな。」「じゃ、だめじゃん。」「証拠はあんのよ、証拠。おまえや。お前が生きた証拠や。人だませてもな、自分だまされへんぞ。お前が一番よう知っとるやろ。お前の中に悪魔が住んでるっちゅうことを。おまえな、人間失格や。ま、ええか。いつまでもな、神様お前に味方してへんぞ。」そういって完三は立ち去った。一人考え込む涼。そして、完三に取り上げられて捨てられた煙草を拾って再び吸いながら、呟くのだった。「神様、そんなもん、いねえよ・・・」

 堂島家。美羽のブレスレットを見つめる優子。そこへ完三が帰ってきた。今日は美羽の初七日の日だった。
 どんな様子だったかを完三は尋ねたが、「うん・・・」と、優子は上の空だった。そんな優子を見て完三は呟いた。「あいつのせいや。釈放になりやがって・・・・」その台詞を聞いた優子は、完三をにらみつけるのだった。

 涼の家。鳥かごをホースで洗う涼。そこに優子が現れる。優子は、ずっと美羽に電話していたがつながらず話せないままだった、美羽が死んだのも柏木が死んだのも涼のせいなのか?と涼に尋ねた。「なにもしてないよ。あの人たちが勝手に死んだんだ。どうせ最後はみんな死ぬんだからさ。おれも。あんたも。」
 「お互い旅立ちの時。」そう言って涼は小鳥を外へ離そうとする。「どっか行くの?」「ちょっとね。」「だめだよ。人に飼われた小鳥は、野生でなんか生きていけないよ。一人で生きてけないよ。」「じゃあ、あんた預かって。」そう言って、涼は優子へ小鳥を渡して、さらに、優子を抱きしめて良いか?と尋ねた。
 優子が答えに窮していると、涼は跪いて優子の腰に抱きつき「一人で怖い・・・」と呟くのだった。涼の頭をなでてあげる優子。「ねえ、俺って怖い?」そう尋ねる涼に、「ううん。」「でも、あんたの知らない俺いるかもよ?」「かまわないよ。」その答えを聞くと、再びふたりは抱き合うのだった。

 日ノ出署刑事課。琴子と完三で、これまでの事件についての話をしていた。琴子は、今回の事件は、お金目的で涼は美羽に近づいたが、美羽が家を捨てると言い出して価値が無くなったから、美羽を誘導して、柏木を誘導した、という完三の意見にここまでは同調した。三田の女子大生の事件については、琴子は、美羽と同じように涼にそそのかされた由紀が殺人をしたと読むが、完三は、由紀は殺人なんて出来るような子ではない、と由紀の肩を持つのだった。それがおもしろくない琴子は、「(由紀のことを)好きなの?」と訊いてしまう。「あほか、あほらしくて聞いてられへんわ。」そう言い残して完三は部屋を出ていってしまった。

 涼の家の前。優子が帰ろうとする。どこへ行っても戻ってきたら教える、約束する。と涼は優子に言うが、優子は、約束なんてしなくていい、似合わない、と答えるのだった。

 バー『パズル』。カウンターで由紀が酔いつぶれて、裕希に、お酒か、涼をくれ、と無理なお願いをしていた。困る裕希。そこへ、帰った客のグラスが戻ってきたが、その中のお酒の残ったグラスを由紀が無理矢理取ろうとする。阻止する裕希ともみ合いになり、由紀は床に転んで顔を打ってしまう。心配して裕希が駆け寄るが、由紀は声を上げて大泣きして、裕希を突き飛ばして出ていくのだった。

 日ノ出署の前。琴子と完三が口論をしながら出てくる。すると二人の前に、由紀が現れる。「あたし、行くね。」怒った声で琴子は言い残して去っていった。刑事課。涼が姿を消した、と言う話をする由紀に、「これでけりつけや。」と言って顔の傷に絆創膏を貼ってやった。うなずく由紀。由紀のこれからを心配する完三は、涼のことを自分も忘れるから由紀も忘れろ、と言うのだった。「こないださ、言ったよね。どこへでも行けるでって。まだわたしは若いからどこへでも行けるって。でも行き様ないよ。どうしても。」由紀はこれからの不安を口にした。そんな由紀に完三は、自分がかつて駆け出しの刑事の頃に正当防衛で犯人を殺してしまった話をした。そのときにはもう終わりだと思ったけれど、自分もこうやって生きているのだから、由紀も大丈夫、これからよう考えて生きていきや、一生懸命生きていきや、と諭すのだった。
 由紀を送って、完三は近くのバス停まで一緒に来た。並んでベンチに座ってバスを待つ二人。この間病院でもこうやって完三は一緒に待ってくれたが、自分のことを誰かが待ってくれるなんて初めてかも知れない、これまでもずっと一人だったし、だれかに何かしてもらった事なんてなかった、と由紀は漏らした。そんな由紀に、「それはちがうわ。」と完三は言った。人は生まれたときは自分では何もできない、一人では育てないのだ、自分は妹を2歳の時から男手一つで育ててきたからわかるのだ、と説明するのだった。

 翌日、由紀の家。琴子が訪ねてきた。琴子は、警察官として来たのではない、と言って話を始めた。単刀直入に聞くが、三田の女子大生の事件は、涼にそそのかされてたきつけられて、彼が部屋の中を片付けて自殺に見せかけたのではないか?と尋ねた。「ちがいます。」そう答える由紀にさらに、「完ちゃんが訊いてもそう答える?」と問いつめるが、由紀の答えはやはり「ちがいます。」だった。
 「そう、だったらいいの。ごめんなさいね。完ちゃん、あなたを信じてるの。傷つけないであげてね。」そう言い残して琴子は帰っていった。うつむく由紀。

 堂島家。優子は、涼から預かった小鳥を大事に育てていた。左手の火傷の跡を眺める優子。

 ある山の中。単線で走る列車の中に涼はいた。そして、涼はある施設を訪ねた。
 そこは涼が育った施設『ほしのこ園』だった。シスターに迎え入れられる涼。「僕には神様はいない。・・・僕は自分で神になったんだ。・・・待ってても何もやってこない。星も降ってこない。僕は欲しいものは何でも手に入れる。この手に掴むのだ。・・・愛なんかいらない。僕は僕のやり方で僕の成果として手に入れる。例えばゲームをクリアするように。それが僕の生き方だ。」涼が子供の頃に書いたこんな作文をシスターは持っていて涼に見せてくれた。そして、シスターは、涼が大きくなって人を愛せるかどうか心配だったのだ、と告白し、人は愛に満ちたもので、ゲームの駒ではないのよ、と諭すのだった。しかし涼はそんなシスターの話を気にもとめず、質問した。「僕のお父さん、どうして死んだの?ホントに交通事故で死んだの?」

 堂島家。優子は小鳥の世話をしていた。そこへ、耳掻きを探す完三がやってくる。「最近やけにその小鳥をかわいがっているなぁ?」と優子へつっこんだが、優子は会社の同僚から預かったものだから、とはぐらかす。完三の携帯電話が鳴る。出る前に呼び出し音が切れてしまったが、着信履歴を見ると由紀からだった。
 すぐにかけ直す完三。「なんかあったんか?」そう訪ねる完三に、「ありがとう、ごめんなさい。嘘付いててごめん。ホントは私、もうだめなんだ。人殺してるの。でも、ごめんね。」「ちょっと待てよ。」「最後に声聴けて良かった・・・」「何を言うてんねん。いまから」そこで、電話がブチッと切れた。「もしもし?もしもし?」焦って電話をかけ直すが、もう由紀は電話には応答しなかった。「あかん!」「おにいちゃん!?」追いかける優子を置いて完三は家を飛び出した。行きすがら、完三は琴子に電話をして由紀の住所を聞き、タクシーに乗って由紀の家へ急いだ。タクシーに乗りながらも完三は電話をするが、呼び出し音が鳴り続ける。「出えよぉ!」しかし、呼び出し音は留守電に切り替わってしまう。「神様、頼むでぇ・・・」タクシーは夜の街を走っていった。

空から降る一億の星(ドラマ)第8話のあらすじネタバレ

夜の街。堂島完三(明石家さんま)は自殺を図った宮下由紀(柴咲コウ)の電話を受け、由紀の部屋へ急いだ。部屋の鍵を大家さんに開けてもらって完三が部屋に飛び込むと、そこには由紀が意識不明で倒れており、傍らには大量に飲んだ薬の殻が散乱していた。完三は由紀を抱き起こし、由紀の名前を呼びかけた。救急車で運ばれる由紀。

 堂島家。完三が飛び出していった後、残された堂島優子(深津絵里)は呆然とする。すると、優子の携帯が鳴った。電話は駅前の電話ボックスから片瀬涼(木村拓哉)がかけてきたものであり、旅から戻ってきたとの連絡だった。
 優子は涼から預かった小鳥を持って、駅前で待つ涼に会いに行った。小鳥を返すと、涼は下に鳥かごを置いて小鳥をあやし始めた。優子もかごを挟んで座り、涼のことを気にしつつ小鳥を一緒にあやし始めた。涼も、優子を気にしつつ小鳥をあやし続けた。

 病院。由紀は無事に助けられた。自分を助けてくれた完三に、由紀は名前を尋ねる。「完ちゃんて呼ばれてる。」「カンゾウや。兄弟が男ばっかりで、上からシンゾウ、ジンゾウ、カンゾウや。」「うそ!?」そんな冗談で、由紀の気持ちを落ち着かせようとする完三だった。「君もいっぺん、”完ちゃん”って呼んでみい。」そう由紀に勧める完三。「かんちゃん・・・」照れながらも呼んでみる由紀を、さらに笑わせようとして完三は一人で話し続けた。そんな完三を尻目にボーっとする由紀を見て、完三が「どうした?」と問いかけた。「あたしわかった。あたし、死にたかったんじゃなくて泣きたかったんだ。」そういって大粒の涙をぼろぼろと流しながら由紀は泣き始めた。その様子を、無言で見守る完三だった。

 堂島家。病院から完三が戻ってきた。「おかえりなさい。」優子はまだ部屋で起きていた。「なんだったの?」「おお、ちょっと仕事。」「そっか。じゃ、おやすみ。」そう言って別れて部屋に入ろうとして、完三は尋ねた。「鳥、どないしたん?」鳥について訊かれてオロオロしつつも、会社の友達が戻ってきたから返してきた、と優子は説明した。完三は知って知らずか、鳥がいないとなんとなく淋しいな、などと言うのだった。それを聞いて兄に嘘を付いていることにいたたまれない気分になる優子だった。
 翌日、優子は自転車で涼と共に始めて二人で出かけたきっかけとなった川沿いの公園へ自転車で一人訪れて、これまでの涼との思い出を思い返していた。そして、何かを決意した日のような表情を浮かべるのだった。

 『REVE』。事件以来始めて涼が店に戻ってきて、他の従業員の前でみんなに迷惑をかけたことを謝罪した。そんな涼をみんな受け入れて、通常通りに仕事に戻った。

 とあるバー。カウンターには、柏木小百合(とよた真帆)と涼が座っていた。涼が『REVE』に残れたのは、古くからのつきあいのある小百合の口添えに寄るものだった。その事実を知り、小百合に涼は礼を言った。
 小百合は、涼に今日呼び出したのは別件についてだ、と言って資料を取り出した。そこには、今後柏木グループが全国展開するレストランチェーンについての構想が載っており、涼さえ気に入ればそのうちの一つ涼に任せたい、というのが今日の小百合の用事だった。「どうして?」理由を尋ねる涼。「あなたが好きだから。」小百合はそう答えて涼を見つめた。
 小百合の部屋。小百合のベッドの上で、涼は小百合を抱くのだった。

 由紀の病室。完三が向いたリンゴを由紀は食べていた。ボーっと考え事をする由紀に、「このリンゴ、うまいやろ。」と話しかけるが、由紀は「このまま時間が止まればいいのに・・・と漏らすのだった。無言で立ち上がる完三。由紀は続けて、「わたし・・・あの三田の女子大生の殺人事件、私が殺したの。」そう告白した。「そうか。」「そうかって・・・」「わかった。そやけどな、ちょっと待っとき。待っとけ。そんな体やしな、元気になってからや。それまではその話はお預け。ええな。」そう言って、由紀に念を押した。

 『REVE』。雨の中、小百合の車で送られた涼が出勤してきた。「傘貸して上げる。」そういう小百合に涼はキスをして車を降りた。店の門を開けて涼が入ろうとしたところに、後ろから完三が声をかけてきた。「おはようさん。彼女か?」「いや、そんなんじゃない。」「おさかんやなー。」
 厨房では、涼に向かって向井裕希(金子貴俊)が納品する野菜の確認を行っていた。その様子を見ながら横に腰掛けている完三。納品の最後に、小鳥の餌があり、その事実に反応する完三だった。裕希はそのまま帰っていった。完三は涼に近づいて、涼が鳥を飼っていることを確認した。完三は涼とのすれ違いざまに厨房のスパイスの瓶の列を崩してしまう。あわてて完三は拾おうとするが、それを制止して、涼は拾って元通りにカゴに戻した。そんな涼の様子を見ながら、完三は「今日はな、折り入って話があんのよ。」と話を始めた。「自首してくれへんか?」「自首?」「由紀ちゃん、自殺した。」「死んだ?」「あほか。生きてる。」「じゃ、未遂だ。」「わしがな、死なさへん。自首してくれ、三田の女子大生殺し、あんたがあの子にやらせたって。」そこまで聞いて、涼は吹き出した。「ばかじゃないの。」完三は続けた。「由紀ちゃんが殺して、あんたが部屋を片付けた。」完三は、涼が今戻したスパイスの並び順が同じだったことを指摘して、涼には一度見たら忘れない、という特殊な能力があるんだろう、と詰め寄った。しかし、まったく涼は反応しない。「あんた、わしより力あると思うとるやろ?そやないねんなー。あんたは自分がかわいてかわいてしょうがないねや。自分を特別な人間やと思うとる。なぁ?けどな、わし、命惜しないねん。自分のことぼろぞうきんや思うてんのや。こういう奴だけが人守れんのや。」それに対して、涼は誰かを守りたいと思っている人間が一番弱いのでは?と反論する。「人って裏切るよ?どうすんの?もし自分が守りたいと思っている人に裏切られたら?」「ええねん。そいつをな、守っただけで、それで、ええねん。」「ふうん。」「あんた、うちの妹に会うとったな?二度と会わんといてくれ。」「それ彼女が言ってんの?」そう涼が問いかけるのも無視して、完三は店から出ていった。

 日ノ出署。由紀が三田の女子大生殺しの犯人であることをしばらく黙っておいてくれ、と完三が言っていることに対して、琴子が何を考えているのか?と怒っていた。彼女の体調が戻るまで待ってくれ、と言う完三に、琴子は、完三はそんなだから誰も幸せに出来ないのだ、優子も完三が引き取って幸せになっていない、完三はいつも自分が出来ないこともその場の優しさで引き受けてしまって、結局後で大変になるんだ、と言い放ってしまう。そう言われて完三は、それなら由紀のことを話せばいい、と言い残して去っていってしまう。
 帰り道、一人煙草を吹かしながら夜の街をさまよい歩く完三の姿があった。

 涼の家。家の前のビルの屋上で、優子と涼でテーブルを囲み、涼の手料理を食べていた。これは、優子が涼の不在の間、小鳥の面倒を見てくれたことに対する涼のお礼だった。「じゃあ、俺の面倒見る?」そういう涼に、「これからは、そう言うことを思いついても言わないようにしたら?嘘臭いから。」と優子はたしなめた。優子がワインを開けたいけれど涼が飲めないから、と躊躇するが、涼は寝ないからといって飲み始めたのだが、結局テーブルで寝てしまい、優子が起こしても全く起きないのだった。
 --- パズルを一人組み立てる少年の頃の涼。すると、隣の部屋で銃声がする。驚いて扉を開けて隣の部屋を覗くと、銃を構えた男が立っており、その足下に涼の父が倒れていた。傍らでは、ヤカンが沸き立っていた。「お父さん!」叫ぶ涼。 --- 
 涼はその夢を見てベッドから飛び起きた。「どうしたの?」心配そうに優子が駆け寄ってきて、涼に触れるが、涼ははじけるように優子から逃げた。「大丈夫。」そう言いきかせながら、優子は涼に近づいていき、やっと捕まえた。優子を抱き寄せる涼。そのまま二人は座り込み、涼は優子の体にしがみついた。優子は、涼の頭を胸に抱きしめながら、「ここにいるから。私ここにいるから。」そう言い聞かせるのだった。
 落ち着いた涼は、「夢を見るんだ。親父が殺される夢。」そう言って、冷蔵庫から、紙を取り出して優子に手渡した。優子が紙を開いてみると、そこには、涼と両親の三人が、たくさんの星が見える場所に立っている姿を子供の頃の涼が書いたものだった。「いつかあんたとここ行きたいな。」そう言う涼に優子は「うれしい。」と微笑んだ。お母さんは病気で死に、お父さんは事故で死んだんじゃ?と問う優子に対して、涼は、そう教えられてきたが、それはみんなが自分に嘘を付いているだけで、実際には隠さなければいけないような真実があるのかも知れない、でも、育った施設のシスターに何度尋ねても事故だと言い張られた、と漏らした。
 今の、お互いがいる、という状態ではだめなのか?と問いかける優子に対して、涼は、「それでいい。でも、苦しい。」と答えた。「どうしたい?」「ほんとのことしりたい。」「反対?」「あんまり言い予感しない。」「でも知りたい。」「わかった。あなたの心は私が守る。」そういう優子に、涼は甘えて寄りかかり、そんな涼を優子は抱きしめた。

 日ノ出署。署では、三田の女子大生殺人事件の捜査本部が縮小されるという話題が出ていた。完三は驚いて、琴子を見るが、琴子は知らない振りをしていた。完三はあとでこっそり琴子に謝る。それに対して琴子は、由紀のことは完ちゃんに任せる、私が必要なときには言ってくれ、と答えた。「おおきに。」それを聞くと、琴子は歩き出した。その背中に向かって完三は呼びかけた。「琴ちゃん、頼りにしてるで。」「知ってるよ。」と琴子は笑って答えた。

 由紀の病室。由紀が退院する世話を琴子がしていた。「すみません。」恐縮する由紀。

 堂島家。優子の取材した『REVE』の記事を完三は見つけてしまい、苦々しい顔でそれを見つめていたところに、優子が帰ってきた。「ちょっとええかな?」完三は優子に日下とどうなったのかを尋ねた。まずい、と思いながら、日下とは別れたが言うのを忘れていたと優子は話した。そんな説明に納得のいかない完三は、「あいつと、会うとるのか?」とぶつけた。「なにが?」記事を見せて問いつめる完三だが、そんな古い記事の話を、と優子は否定した。「会うてないねんな?」「会ってないよ。」「あの鳥、あの男のもんやろ?あんなもんに関わったらな、なにされるかわからへんぞ?」「どうもされないよ。私、彼を信じてる。」「あほか、お前は。あいつに関わった美羽ちゃん、由紀ちゃん、どうなった?」「離してよっ!子供じゃないんだから放っておいてよ!」「ちょっと待て!お前なぁ、ここまで育ててもうたんは誰や?」「恩着せがましいよ。お兄ちゃんだってさっさと好きな人作って結婚すればいいのに、何かと言うと私のため、私のため、って息が詰まるよ!」「そうか。お前、ずうっとそう思っとったんか。」「思ってたよ!」そう言って走り去る優子だった。残された完三は、複雑な思いで立ちつくしていた。

 優子の会社。由紀が優子を訪ねてきた。由紀は、涼に「もう自首しようって。私はもう覚悟を決めたから。」という伝言を優子に伝えて欲しい、と頼みに来たのだった。自分で伝えればいいじゃない?という優子に、自分は完ちゃんと涼とは会わないと約束したから、と説明した。「そう、あなた、お兄ちゃんと会ってるんだ。」優子は呟いた。そこに、優子を呼び戻す会社からの電話が入り、優子は車に戻ろうとする。そんな優子に向かって由紀は呼びかけた。「ねえ、涼は悪魔だよ。決して誰のことも愛さないよ。」「ご忠告どうもありがとう。」そう言い残して優子は会社に戻っていった。

 涼の家。優子は、みんなが自分と涼のことを信用するな、と言う、と涼に言いに来た。涼が話を変えようとしても取り合わない優子に、「帰れよ。俺そう言うめんどくさいの嫌いなの。帰れ。結局さ、あんたも他の女と一緒なんだ。」そう言って、ドアに鍵をかけて涼は家に籠もってしまった。
 そのまま夜になり、涼の家の周りでパトカーのサイレンが鳴り響く。驚いて、家の外に出て、ビルの屋上から辺りを見回す涼。「気持ちいよ!」優子が座っていた。優子ぶ近づくと、涼は優子を抱きしめた。「飛び降りたかと思った?」「びびったぁ。」「ごめん。」「試したの?」「ドアしめられちゃったし、どうしたものかと思ってたのよ。私あなたの見方だよ。世界中が敵に回ってもあなたの見方だよ。」そう言って優子は再び涼に抱きついた。優子を抱き上げて喜ぶ涼。

 堂島家。完三が一人で考え事をしていると、優子が帰ってきた。お互い相手を気にしつつも、何も話さずに優子は自分の部屋に入った。「優子。」完三がドア越しに話しかけてきた。この前のことはすまなかった、けれど、自分は両親が死んでからずっとお前のことだけ考えて生きてきた、恩着せがましいとか古くさいとか思うかも知れないが、ちょっとで良いから、俺の気持ちを汲んでもらえないか?あいつと会わないで欲しい、そう言って、その場を完三は離れていった。ドアの前で立ちつくす優子。
 小百合の部屋。「来て。」小百合が、ベッドの上から涼のことを誘っていた。「もうあなたのことは抱かない。・・・裏切りたくないんだもん。」そう答える涼に、すべて無くなるけれど良いのか?と小百合は脅した。「どうぞご自由に。」そう言って涼は帰り支度を始める。すると小百合は、涼に任せるつもりだった店のイラストを涼に投げつけながら「楽しかった?赤子の手をひねるようなもんでしょ、箱入り娘の美羽お嬢様と、うちの天然バカの直哉、だまして殺すの。」と訊いてきた。しかし涼は、無言のまま、「おじゃましました。」とだけ言い残して帰っていった。

 堂島家。優子の好きなすき焼きを今晩のご飯として完三が用意していた。そこに電話が鳴り、優子から、今晩は残業になってしまったので遅くなる、という電話だった。するとつぎに、家に忘れていった優子の携帯が鳴った。しかし、出ないためにすぐに電話は切れた。しばらくすると、また携帯の呼び出し音が鳴って切れた。いけないと思いつつも、完三は携帯を取り上げて着信履歴を見た。電話は『REVE』からであり、完三は全てを知った。ためらいながら涼の残した留守電を聞くと、待ち合わせには遅れる旨と待ち合わせ場所の確認について入っていた。

 優子と涼の待ち合わせの映画館。入口の前には既に優子が涼を待っていた。急ぎ足でやっと映画館前の横断歩道に到着する涼。道路の向こう側を見ると、映画館の前で優子が待っている姿があり、それを見て一人微笑んだ。赤信号をちらちら見つつも優子を見つめていると、道路の反対側、ちょうど優子と涼の間に、完三が現れた。凍り付く涼。そして二人はにらみ合う。信号が青に変わり、二人はそのまますれ違った。涼は、横断歩道を渡り終えると同時に崩れ落ちた。涼は右の脇腹から血を流し呟いた。「ふざけんなよ、おっさん。」完三は血だらけの右手とナイフをポケットにしまうと、振り返って崩れ落ちた涼を確認した。「優子に会うなと言うたやろ。」完三はその場を後にした。
 崩れ落ちた垣根越しに涼は優子を見るが、そんな出来事に全く気付かない優子は、まだ現れない涼を待ちわびていた。倒れ込む涼。

空から降る一億の星(ドラマ)第9話のあらすじネタバレ

映画館前。堂島優子(深津絵里)は、映画の開始時間になっても現れない片瀬涼(木村拓哉)を、キョロキョロしながら待ち続けていた。少し離れた道路際の草陰には堂島完三(明石家さんま)に刺された涼がいたが、涼は優子には会わずにタクシーを止めて乗り込んだ。タクシーに乗り傷の痛みに耐えながら、後ろ髪を引かれる思いで窓から優子の姿を見送る涼。

 ある診療所。涼がタクシーで向かった先は、寂れた町医者の家だった。すでに診療時間を過ぎているが、涼は痛む腹を押さえながら診療所の玄関に転がり込んだ。物音を聞きつけて医者が中から出てきて、もう診療時間は終わったよ、と告げた。「ごめんなさい。」と血だらけの手で苦しみながらも謝る涼を見て、「あれ?あんた?」と医者は涼に気が付いた。「こんにちは。」そう答えながらも、涼は痛みに気が遠くなりそうなのを、自分の血だらけの手を噛むことで耐えていた。
 治療が終わると、医者は、「泊まってもらうよ。入院。」と笑顔で涼に言い渡した。「えっ?!」驚く涼。しかし、傷のことを思うと、涼に選択の余地はなかった。

 堂島家。優子が帰ってきた。台所に立っている完三の姿が見えた。残業だと嘘を付いた後ろめたさから、優子は声をかけるのをためらうが、「ただいま。遅くなっちゃった。ごめんね。」と完三の背中に声をかけた。完三は背中を向けたまま何も言わなかった。優子はあきらめて部屋に向かった。このとき、完三は涼の血の付いた右手をひたすら洗っていたのだった。

 翌日の日ノ出署。完三は辞表を大塚課長(田山涼成)へ提出した。こんな時期にこんなものを、と迷惑顔の大塚課長に向かって、「昨日の有楽町の事件、私です。すんまへん。」「きみねぇ、何寝ぼけたこと言ってんの!」涼の一件は事件になっていず、だれもそのことについては知らなかったのだった。呆然とする完三。そんな完三を見て、琴子は「どうしたの?完ちゃん?」と心配するのだった。「えっ?いや、別にな。」事件になっていないことに呆然としたまま答える完三だった。

 優子の職場。向井裕希(金子貴俊)から優子の携帯電話に涼について連絡があった。裕希は、なんとか刺されたことは隠すために、しどろもどろになりながらも、現在盲腸で熱が出て入院中だ、という説明を優子に納得させた。

 堂島家。完三と優子でうどんの夕食を取っていた。向かい合わせに座っていつつも、なんとなく気まずいままの二人。「おいしいね。」なんとか空気を変えようと、優子がうどんを誉めるが、完三は乗ってこなかった。また黙る二人。すると、今度は完三が話を始めた。「あいつ、涼や、連絡あったか?」完三の口から涼の話が出たことに優子は驚く。「えっ?」「刺した。約束守れへんかったからな、刺した。」さらに驚き言葉のでない優子を前に、完三は話を続けた。「あ、警察辞めるわ。辞表出した。ま、人刺したからな。あいつ、会わへん言うたのに会いやがったから。」「おにいちゃん、ごめんなさい。」「あいつや。あいつ、あいつにはな、この方法しかないのや。お前を守るためにな。」そう言って、完三がひたすらうどんをかき込んだ。優子は何も言えずにうなだれるだけだった。

 診療所。ベッドで眠っていた涼は、いつもの夢をまた見たのだった。
 --- --- パズルを一人組み立てる少年の頃の涼。すると、隣の部屋で銃声がする。驚いて扉を開けて隣の部屋を覗くと、銃を構えた男が立っており、その足下に涼の父が倒れていた。カセットテープが何かを奏でている。傍らでは、ストーブの上にヤカンが沸き立っていた。「お父さん!」叫ぶ涼。ヤカンがストーブの上から落ちてくる。 ---
 ハッと、目覚める涼。夕方、医者に傷を見てもらった際に、夢の話を涼は医者に尋ねた。医者は、封印された過去が、何かをきっかけに思い出されることは良くあることであり、うまくいけば真相にたどり着ける、しかし真実を知らない方が良いこともこの世には多い、と、諭した。また、腹を刺されてこんなところに転がり込んでくるなんて、ろくな人生じゃないのだろう、だから人のダークサイドである病歴を書き込む、人の人生が透けて見えるカルテなんて要らないだろう、と言った。それを聞いて、ハッとした涼は「先生、それどれぐらい取っておくものなの?」と尋ねるのだった。

 堂島家優子の部屋。裕希がまた連絡してきて、涼の傷口もふさがってきて、そろそろ退院出来そうだ、と伝えてきた。完三のことがあり、どうしたらよいのか困る優子は、裕希に涼への伝言も伝えられなかった。
 完三がドアをノックして、好きなテレビが始まるけど見ないか?と声をかけてきた。「いい。」断る優子。
 さらに、完三は夜食にうどんはどうか?と振ってきた。「うん、すぐ行く。」「そうか。待ってるわ。」なんとなく気まずいままの二人だった。台所で煙草を吸いながらうどんの用意をする完三。
 翌日。別れたはずの日下圭太(八嶋智人)が、自分の好きな映画ベスト5のビデオを持って優子を訪ねてきて、一緒に見ませんか?と言って来た。「どこで?」「お宅で!」驚く優子。
 日下は、完三から優子が落ち込んでいる、という連絡を受けて訪ねてきたのだった。「どうぞ。」お茶を出す優子。「ぼくじゃだめですか?僕じゃ気分転換の相手にはなりませんか?」そう訊く日下に戸惑う優子だった。「いつかの好きな人のことですか?」日下は何も細かなことは聞かずに事情を察した上で、ビデオを見ましょう、と準備を始めた。

 涼の家。涼は退院してきて、さっそく小鳥に新しい餌をやるのだった。

 定食屋『たぬき』。完三が夕食を食べているところに、涼が現れた。涼が完三から離れたテーブル席に座ろうとしたとき、完三が話しかけた。「直ったんかいな?」涼は無言で完三の隣の席へ歩いていき、腹の包帯を見せて座った。「見舞いに花ぐらい贈ってよ。「何で言えへんかったんや?警察にや?」「めんどくさいじゃん。拳銃とか持ってないでしょうね?」「あのな、冗談やないねんぞ。」「それこっちの台詞。笑わせないで、まだ痛いから。」「あ、そうや。優子な、日下さんて知ってるやろ?より戻ってな、ええ感じやわ。」そう言って、日下と優子の将来についての完三の思う夢をとつとつと完三は語った。「あーそう。」うなずく涼。「あ、伝えといてもらえます?」「なにをや?」「お幸せに、って。」それだけ言うと、涼は注文した定食もキャンセルして店を出ていってしまった。ため息を付く完三だけが店は残り、一人しんみりと酒を飲むのだった。

 涼の家。家の前のビルの屋上に涼は一人立ちつくしていた。

 堂島家の朝。完三と優子は二人で朝食を取っていた。完三は昨日の涼の話を優子に聞かせた。「幸せに、言うとったわ。」「そう。」「あ、それからな、『たぬき』にもけーへんて。」そんな完三に、心配しなくて大丈夫だ、涼に会いそうな所にはもう行かないから、と優子は説明した。

 日ノ出署。完三は自分の荷物を片付けていた。「片付け?」琴子が話しかけてきた。「辞めてどうすんの?」「うどん屋でもしようかな、と思ってな。」「完ちゃん、納得してるんだったら。」「うん。」そんな話をしていると、荷物の中から完三が刑事に成り立ての頃の写真が出てきた。
 「この写真の何ヶ月か後に・・・あれで、ワシの人生狂ってしまったんや。」そうしみじみ話した。黙る琴子に「飲みに行くか?」と誘って、「うん!」笑顔で琴子は答えた。

 『REVE』の厨房。涼が一人でいると、日下が訪ねてきた。「あぁ、あんた。」日下に気付く涼。「なにか?」

 居酒屋。完三は涼を刺した話を琴子にしていた。「これでもう、会えへんやろ。自分の命惜しないやつ、おらへんからな。人刺すってなぁ、もう。」と完三はホッとした気持ちを話すのだった。「あの子のことに関しては普通じゃなくなるわよね。」という琴子に完三は、涼のことも25年前の男の子のことも何か気になるんだ、と話すのだった。
 帰り道。「完ちゃんがさ、私のこともっと好きだったら良かったのにな。」「何を言うてんがな。好きやったがな。」「もっと!」「もっとか・・・」「うれしくなーい、ことないかなぁ・・・」そう言って、さらに飲みに行くために夜の街を歩く二人だった。

 堂島家。完三が帰ってくると、優子が風呂上がりのところだった。琴子と飲んできたことをデートだ、とからかう優子に、完三は、そっちだって日下君と昼間デートだったんだろ?と返した。「うん。お昼食べた。」優子は素直に答えた。「そうか。」うれしそうな完三の姿に、二人の間の空気もまた以前のように暖かいものに戻りつつあった。

 優子の会社。コピーを取っていると、優子宛に電話が入った。電話に出ると電話相手は日下で、優子を呼び出す電話だった。
 優子の会社の近所のカフェ。日下の話は、『REVE』に涼を訪ねていったこと、涼は自分はもう優子とはつきあう資格がないこと、たぶん涼は今晩どこかへ行ってしまうこと、だから彼を訪ねてみては?と優子に話した。驚き戸惑う優子。そんな優子に、日下は「後悔は悲しいものです。たとえどんなに傷ついたとしても、自分に正直になって何かを確かめてみた方がよいこともあるんじゃないでしょうか?」「それも何かの映画ですか?」「はぁ。僕の優子さんに対する恋の話です。といっても、僕は振られちゃったんですけど。でも正直にして良かったと思っています。」「日下さん・・・」二人は笑顔で話すのだった。

 涼の家。涼は小鳥と一緒に家の前のビルの屋上に立っていた。そこへ優子が現れた。「飼われてた鳥は一人じゃ生きていけないんだよ!言ったじゃん!一度抱きしめた心はもう一人じゃ生きていけないんだよ!」そう言って優子が涼に走り寄って抱きついた。抱きしめる涼。「一度抱いたら、ずーっと抱きしめていて。」
 二人はキスをした。「私、あなたが人殺しててもいい。あなたのことわかろうとすると思う。ちょっと頑張ったらわかるような気がする、あなたのことだったら。」そして再び二人は長いキスをした。二人は涼の家のベッドで結ばれた。ベッドで二人は裸で抱き合っていた。「俺、怖かった。どうなっちゃうのかって。寝たらどうなっちゃうのかって、怖かった。」「あたしは、なんか、何かが壊れちゃいそうな気がして、怖かった。」そうお互いの気持ちを話す二人だった。

 堂島家。完三が家の荷物を整理していた。その中から、”関西うどん堂島”と書かれたのれんが出てきて、それを感慨深そうに完三は見つめていた。さらん、思い出したように缶から昔の写真を取りだして眺め始めた。懐かしげに笑いながら見ていた完三の手が、ある一枚の写真で止まり、苦々しい表情で呟いた。「あんな事さえ、あんな事さえなかったらなぁ。」その写真は昔の完三の写真だった。
 完三は何かを決意したような表情をした。

 とある田舎町。田舎道を歩きながら涼は、地元の人に湖の場所を尋ねて歩いていた。そして、ついに涼が子供の頃にあの画用紙に描いた湖にたどり着く。絵にあった赤い二本の線は、湖に沈みかけた鳥居の事だった。満足げに絵と景色を見比べる涼。ふと何かに気付いて湖の対岸の森を歩いていくと、そこには朽ちかけた家があった。ドアを開けてその家に入り込む涼。その部屋の中を見て、自分の夢の中と同じ光景であることに気が付き、さらに中に進んでいく。カセットテープ、ストーブ、パズル・・・すべて埃をかぶってはいるものの、夢の中、つまり涼の昔の記憶と全く同じだった。思い出した記憶では、涼がパズルをしていた時、傍らには同じくらいの女の子が座っていた。そのときフクロウが飛んでくる。そのもの音に驚いて立ち上がる涼。はぁ、ため息を付くと同時に、当時の記憶が徐々によみがえってきた 。
 --- 隣の部屋を覗く。ストーブの上で沸き立つヤカン、何か音を奏でるカセットテープ、ストーブの上からヤカンが落ちてきて湯が降ってくる光景、「お父さん!」と叫ぶ自分、そして、拳銃を持った男。その男の顔が男の向かいにある消えたテレビの画面に映っている。目を凝らしてその顔を見る。その男は完三だった。 ---
 呆然と扉にしがみつきながら座り込む涼。

 車の中。完三は高速道路を一人で運転していた。そしてある田舎町の畑の間を走る。そこは先ほど涼が道を尋ねて歩いていたのと同じ道だった。完三はある病院にたどり着く。病院事務所で、1977年に火傷で運ばれた””と言う5歳の名前の男の子がいなかったか?と尋ねる。事務の女性は、「ないと思いますよ。」と言いながら、中へ調べに行った。「やっぱりないですね。」「そうでっか。」「でも、どうしたのかしら。こないだも、子供の頃この病院に入院してたはずなんだけどカルテはないか?っていう男の人が来たのよ。結局は見つからなかったんだけど。」「その男、名前はなんて言いましたか?」「はっ?名前?ちょっと待ってね。この人この人。」事務の女性は連絡先の書かれた紙を持ってきた。そこには、”片瀬涼”と書かれていた。

空から降る一億の星(ドラマ)第10話のあらすじネタバレ

涼の生家。すでに荒れ果てた生家のなかで、片瀬涼(木村拓哉)は父が殺されたときのことを思い出していた。
 --- 隣の部屋を覗く。ストーブの上で沸き立つヤカン、何か音を奏でるカセットテープ、ストーブの上からヤカンが落ちてきて湯が降ってくる光景、「お父さん!」と叫ぶ自分、そして、拳銃を持った男。倒れた父親に夢中で駆け寄ろうとして、ストーブにぶつかる涼。その拍子に沸き立つヤカンが落ちてきた。 ---

 とある田舎の病院。堂島完三(明石家さんま)は25年前の事件の少年を追うためにこの病院を訪れたが、完三に先立って涼が子供時代に入院していた自分のカルテを探しに来ていたことを知った。

 日ノ出署の廊下。完三は涼が25年前の少年であることを杉田琴子(森下愛子)に話した。「まさか・・・!?」驚きながら、でも少年:沢田省吾と片瀬涼では名前が異なることを指摘する。しかし完三は、きっとどこかで名前を変えたのだろう、優子が変えたように、と説明した。
 なぜ自分の子供の頃の病院にカルテなんて調べに行ったのだろう?という琴子の問いに、完三は「なんかに気が付きおったんやろな。」と回答した。「完ちゃん、わたしなんかいやな予感する。どうする?」「どうするって。どうしようもないなぁ・・・」そう答える完三だった。

 涼の生家。25年前の事件の時と同じように、父が倒れている場所に駆け寄る様に動く涼。そして、父が倒れたそばにあるテレビの画面に映る、父を撃った人物の顔に目を凝らす。それが若かりし頃の完三であることを涼は確信した。無言でうなずく涼。

 涼の家の前。涼が生家から戻ると、家の前で優子(深津絵里)が涼を待っていた。「どこ行ってたの?」そう尋ねる優子に、涼は正直に「ほら、あの絵の場所探しに。」と答えた。「あった?」不安な面もちで訊く優子に対して、涼は「なかった。」と嘘を付いた。ちょっと安堵の表情でうなずく優子。
 涼の家の中。小鳥に餌をやる優子に、涼はオドオドしながらも、それを優子に悟られないように、完三の過去について尋ねた。警察にはいる前は専門学校だった、という優子の答え。完三の一家は、ずっと関西に住んでいたが東京に移り住んで、一家はうどん屋を始め、完三は警察官になったのだった。「年は?」「46かな?なんで?」「うん・・・」そこで話を変えた振りをして、涼は「アルバムある?いや、昔の優子がどんなだったのかなー、と思って。」とさらに完三の過去を知る手係りについてさりげなく話を持っていった。
 何も疑わない優子は、「いいよ。探しとくよ。」そう言って笑顔を見せた。
 「あのさ、デートみたいなことしたいなー、と思って。いかにもデートみたいな、遊園地とかドライブとか、一回で良いから。」優子が涼に話しかけた。「なんで一回なの?これからずっとそれで良いじゃん。」そう言ってくれる涼にホッとしながら、優子は「そっか。」と答えるのだった。

 とある街角。仕事帰りの琴子はなんとなく自分の後ろに人の気配を感じて立ち止まり振り返った。しかし誰もいない。再び歩き出すが、やはりその気配が消えず、思わず階段をかけ上ろうとすると、階段の上に涼の姿があった。驚いて涼を見つめる琴子。
 バー『パズル』。バイトをしている向井裕希(金子貴俊)がジュースを二つ涼に渡した。涼は琴子をこの店に誘ったのだった。「あの、もし知ってたら教えて欲しいんですけど。」「なに?」「完三さんて言う刑事さん、25年くらい前何やってたかってます?」そういう涼の問いに、琴子は「さぁ。私まだ警察入ってないし。」ととぼけた。涼はしばらく無言で琴子を見つめていたが、「あの人、人殺してません?」と単刀直入に訊いてきた。「まさかぁ。刑事が人殺さないでしょ?」さらにとぼける琴子だった。

 行きつけの居酒屋。涼と別れた後、琴子は完三とこの店で落ち合った。琴子は涼とのことを話して、かなり涼が完三のことを知りたそうだった、人を殺したんじゃないかと言っていた、と説明した。

 小百合の部屋。涼は柏木小百合(とよた真帆)の部屋を訪ねていた。小百合は、
 涼を探したけれど『REVE』も辞めてしまったからどこに行ったのかと思っていたが、きっと自分の所には戻ってくると思っていた、と微笑んだ。
 涼は、小百合を抱いた後、拳銃を自分に都合してくれないか、と頼んだ。「だから私と寝たんだ。」そう尋ねる小百合に、「そう言う訳じゃないけど、その方が話しやすいかなー、と思って。」と涼はなんの飾りもなく話した。小百合は思わず苦笑し、涼のそう言うところが自分は好きだ、一緒に南野氏まで暮らさないか?と誘う。何も答えない涼に、結局小百合は、ピストルは準備するし、完三のことも調べてあげる、と約束して上げるのだった。「サンキュー。」と涼しい顔で涼は答えるのだった。

 堂島家。優子は涼の言われたとおり、昔のアルバムを探していた。そして数冊のアルバムを見つけ、埃を払う。微笑みながら懐かしそうに中をパラパラとめくっていった。そこへ、酔っぱらった完三が帰ってきた。
 そこで、テーブルの上に出ていたアルバムを見つけた。優子は焦りながら、ちょっと棚を整理してたら出てきた、と誤魔化した。完三は酔っぱらいながらも懐かしそうにアルバムをめくり、小さい頃の優子をかわいいかわいい、と懐かしむのだった。ふと、思い出したように完三は、自分は警察を辞めたらうどん屋をやります、と優子に宣言した。そして、優子も一緒にやらないか?と誘ってきた。相手にしない優子に、完三は、やっぱりうどん屋は辞めて、お前は花嫁になれ、とろれつの回らない口調で言うのだった。「お兄ちゃん、酔っぱらってるよぉ。」そう笑って水を汲みに行く優子。完三は一人で昔の優子の思い出を語り続けていた。優子が水を持って戻ってくると、優子が完三の誕生日プレゼントと言ってウシガエルをくれた話などをし、最後には結婚式のドレスは白が良いのか?と夢を話して眠りこけてしまうのだった。そんな完三を切ない顔で優子は見つめていた。「おにいちゃん、こんなとこで寝ないでよ!ごめんなさい・・・」眠りに落ちそうになっている完三に向かって、優子はそうつぶやいた。

 病院。宮下由紀(柴咲コウ)が神経内科の診察を終えて診察室を出ると、待合室に完三が待っていた。微笑む由紀。由紀は治療の甲斐あって、ほぼ快復していた。
 レストラン。完三と由紀はお茶しながら、由紀の話を聞いていた。「あの時涼が言ったの。あいつが、あいつさえいなければお前とずっと一緒にいられるのにって。」「三田の女子大生か?」由紀の話では、そういう涼の言葉を受けて三田の女子大生の部屋に行き、別れて欲しいと言ったところ、女子大生は”涼は自分と別れられるわけがない、由紀は薄汚い野良猫みたいで、寝るだけの女だと、涼が言っていた。”と言い返してきたという。そこで頭に来た由紀は、手近にあった花瓶で彼女を殴ったが、向かってきたのでもう一度殴ったところ、”ゴン!”と音がして彼女は動かなくなった、とのことだった。
 ”どうしよう?!”と思って涼を呼んだところ、涼は自殺に見せかけよう、と言っていろいろ工作してくれたのだった。
 「あいつはな、ゲームや。人を操るゲームや。まあな、金持ちに近づいて金を取る、目的やないのや。同じゲームなら高いレートでやった方がおもしろいって、それだけのこっちゃ。壊れとる。あいつの心、壊れとるわ。人を傷つけることだけで自分が生きてるって確認ができんのや。」そう完三は呟いた。
 「わたし、考えたんだけど。やっぱりわたし・・・」「ええわ。その話はええ。警察の中っちゅうのはな、元気な人でも大変だから、病院に行かんようになってからでええやろ。待っとれ。元気になったらな、おっちゃんが一緒に付いてったるから。」困惑しつつ完三を見つめた。
 公園で池の鯉に完三は餌をやっていた。その横で立っている由紀が話し出した。
 「わたし、私あなたの心の真ん中にいたいよ。海みたいに広くってさ、それで毛布みたいにあったかくてさ。場所取らないからさ、ちょっとでもいいから、わたし完ちゃんの心の中にいて良いかな?」「ええよ。おったらええ。ずーっと。」その言葉を聞いて由紀は微笑み、一緒に鯉に餌をあげるのだった。

 海沿いに止めた車の中。車から涼と小百合が降りてきた。もらった拳銃を見つめながら涼は尋ねた。「ねえ、拳銃がきれいなのって、人殺す道具だからだよね?」「で?誰殺すの?」涼はボンネットに寝ころぶと空に向かって発砲した。

 堂島家。涼が優子を訪ねて家にやってきた。チャイムを鳴らす涼。「どうしたの?」「いや、会いたくなって。」外に出よう、という優子に、涼は強引にちょっとだけ、と言って家に入れてくれと頼んだ。涼は普通に優子と話している振りをしながら、目だけは家の中をキョロキョロと探っていた。「そうだ、アルバム探しといた。」そう言って優子はアルバムを涼に渡した。微笑みながらページをめくり解説していく優子。そこでお湯が沸く。コーヒーを入れようとする優子に、涼はやっぱり冷たいモノ、コーラとかが飲みたい、と言う。焦った優子は、それなら買ってくる、と出かけようとする。わざわざ買いに行くなら良い、と涼は一応止めようとするが、優子は結局小銭を持って家を出た。それが涼のねらいだったのだ。涼は優子が家を出るのを確認すると、アルバムのあった棚を探り始めた。そして、昔の完三の写真と手紙を見つける。手紙は涼と完三の二人が訪ねた涼の生家近くの病院からであり、完三が問い合わせた25年前の沢田省吾君のカルテは見つからなかった、との回答が書かれていたものだった。一読して全てを確信した涼だった。

 夜の堂島家。完三が夕食の準備をしており、優子はリビングでパソコンに向かっていた。料理の途中で冷蔵庫にペプシコーラが二本あるのを完三が見つけた。「今日誰か来たんか?」「え?どうして?」「いや、冷蔵庫にコーラがあるから。」「あ、なんかたまには飲みたいと思って。お兄ちゃん、ごはん出来たら呼んで。部屋にいるから。」そう言ってテーブルに出したままになっていたアルバムを持って、優子は二階へ行った。なんとなくおかしいと感じる完三がリビングへ行ってみると、アルバムの入っていた棚の戸が少し開いており、中身がいじられている形跡を見つけた。さらに怪しむ完三。

 日ノ出署。涼が夜中の日ノ出署に忍び込み、完三のデスクに座った。引き出しを開け何もないことがわかると、デスクの上の段ボール箱を開けて中の書類を調べ始めた。そこへ完三が戻ってくる。「なんにもないで。よう人の周り嗅ぎ回ってくれてるなー。なんや?」そう問いかける完三に対して、涼は無言で拳銃と弾を取り出してデスクの上に完三に見えるように置いた。「素人がそんなもん持ったらあかんやろ?」「素人って、何人も人殺してるのあんたが一番良く知ってるでしょ?」そんな会話をしながら涼は拳銃に弾を込め始めた。「殺してるって、殺させとるんやろ?人殺すほど、根性すわっとらん。」そう完三が言うと、涼はぴたっと動きを止めて完三を見つめた。「じゃ、一発撃ってみる?」と弾を一発、完三に投げてきた。
 「ほんまもんやっちゅうのはわかってる。俺になにせいっちゅうの?」そう言って弾を完三は投げ返した。
 「人殺し!」その台詞に固まる完三。
 「昔々あるところに幸せな三人の家族がいました。お父さんとお母さんとそれから五歳になる男の子。でもある日その幸せな家族にある男の人がやってきて・・・」涼は自分の記憶にある身の上の話を語り始めた。
 「・・・優しい目して悪魔なの、あんたじゃん。返してよ。俺の親父、俺の家族、幸せだったガキの頃返してよ!あんたが俺の親父殺すまでおれ幸せだったの!何で殺したの?」「言うたろか?あんたの親父さん、殺人犯や。あんたにとって優しいお父さんかもわからんけどな、人、人殺してはんのや。」「何いい加減なこと言ってんの?」「人殺してはんのや!お母さんはずっと前に男と逃げとる。」「話作んなよ!」そう言ってデスクを蹴り飛ばす涼。「ほんまや!ほんまや。ここ来てな、嘘付かれへんやろ?」そう説明する完三に対して、納得のいかない涼はなぜ父親が殺人なんてしたのか?と尋ねた。完三は、涼の父親は町工場で働いていたが工場がうまくいかなくなってお金に困り、お金持ちのお婆さんを殺してお金を盗んだんだ、と説明した。首を振って、嘘だと、笑いながら涼は否定した。それをうち消すかのように、完三は、あんたの周りの人は気を使って嘘を付いてきただろう、とたしなめるが、涼は相変わらず完三の話を認めなかった。
 「俺にだって幸せな過去ってのがちゃんとあったの!」そう言うと涼は銃口を完三に向けた。「それはあんたが作った過去や。あんたが頭の中で描いてる過去や。」「違う!」「そうか、わかった。あんたの心の思い出を信じるから目の前の俺を信じるか、任すわ。」その台詞に頷きながら改めて拳銃を構える涼。
 「なぁ、そんな危ないもん持っとったらあかんやろ。渡せ。」完三は拳銃にひるむ様子もなく、そう言いながら涼に近づいていった。後ずさりする涼。「渡し!」その台詞を聞いて涼は撃てつを引く。そのとき部屋の外を警官が歩く足音がした。一瞬たじろいで、お互いの目を見つめる二人。そこで完三はわざと机の上の湯飲みを落とした。「ガシャン!」その音に気付いた警官が完三の所へやってきた。「どうしました?」完三はちょっと湯飲みを落としただけだ、と言い訳をした。そのときにはすでに部屋に涼の姿はなかった。一人落とした湯飲みの欠片を拾う完三。

 涼の部屋。涼は拳銃を片手にあのスケッチブックの絵を開いてじっと見つめていた。絵を拳銃で撃とうとする涼。しかし苦笑いをして、絵を丸めて捨てしまった。

 とある高級バー。小百合が調査した完三の資料を涼に説明していた。完三は正当防衛が認められてなんの罪にも問われなかった、と言うことが調査の結果だった。「殺人犯沢田正一の子供が俺だ。」「殺すの?」と問う小百合に「さあどうでしょう?」と涼はお茶を濁した。小百合は、涼のことが好きだから代わりに殺してあげようか?と提案するが、涼は気持ちだけ、と辞退した。帰ろうとする涼に、小百合は優子と会うのか?なぜ?と尋ねた。涼は「サンキュー。」とだけ言い残して立ち去ろうとした。すると小百合はその後ろ姿に向かって、「あなたは大事なことを一つ知らないわ。」と声をかけるが、涼は「じゃあ、次回にとって置いて。」と言って聞かずに帰ってしまった。

 遊園地。優子が遊園地の入口で涼を待っていた。優子の姿を見つけて思わず微笑む涼。二人は遊園地での普通のデートを楽しむのだった。
 涼の家。遊園地でのデートを終えて二人は涼の家に戻ってきた。優子が、今日の涼は別人みたいだ、と言うと、涼は、カゴの中にいた心が優子と会って初めて空を飛んだんじゃない?優子は俺にとってたった一つの最後の命だ、と話すのだった。「命?」と聞き返す優子に、「生きてく理由みたいな。」と涼は正直に説明した。立っている優子を後ろから涼が抱きしめた。優子が、一緒に住んで子供を作ったりしないか?と提案すると、涼は賛成して、キスをした。抱き合う二人の横にある姿見に映る二人の姿を見ると、涼の肩の火傷と優子の左腕の火傷の傷がつながることに二人は気付いた。
 また、優子は涼に一つだけ言っていなかったことがある、と言って自分が完三と本当の兄弟ではないと思う、たぶん、小さいときに引き取られたのだ、ということを告白した。優子は血液型を調べてわかったのだが、そのことを直接完三に確かめたことはないから、と説明するのだった。その話を聞いて驚く涼。さらに涼は動揺してヤカンのお湯を自分の手にこぼしてしまう。今度は優子が驚き、涼に手を冷やさせて、薬を買ってくると行って部屋を飛び出していった。
 手を冷やしながら、涼はまた記憶を思いだしていた。
 --- パズルを一人組み立てる少年の頃の涼。そのとき隣には一緒にパズルをする一人の少女がいた。すると、隣の部屋で銃声がする。驚いて扉を開けて隣の部屋を覗くと、隣にいた少女も横に一緒に立って父を見ていた。。「お父さん!」叫ぶ涼。父に駆け寄ろうとする少女が、ストーブの前で転ぶ。するとその拍子に、ストーブの上のヤカンが落ちてきた。 ---
 涼はふらふらとしながら冷蔵庫に行き、中からあの星空の絵を取り出して改めて見つめた。父と自分、そして母親だと思っていた三人目の人物は、実は妹だったことを思いだしたのだった。一人座り込み天井を見上げながら涼は呟いた。「妹かよ・・・」

 堂島家。飛び起きる完三。うたた寝をしているうちに、25年前の事件を思い出して飛び起きたのだった。二階の優子の部屋へ行くと、優子のアルバムが落ちているのを見つける。悩ましげな表情でアルバムをぺらぺらとめくる完三。

 夜の街。薬を買って涼の元へ急ぐ優子。

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