野生のヤギ・羊とかの毛はどうしている？
毛を刈らなければ、野生のヤギ・羊はどうなるんでしょうか？毛むくじゃらになってひどいことになる？
野生のヤギ・羊｜毛を刈らないとどうなる？抜ける？換毛期は？
結論から言うと野生のヤギや羊は、人間が毛を刈ってあげる必要はありません。なぜなら、彼らは自然に毛が生え変わって、古い毛が抜けていくからです。
野生のヤギ・羊の毛は、春先に自然に抜け落ちる
野生のヤギや羊は、春になると古い毛が自然に抜け落ち、新しい毛が生えてきます。これは換毛期と呼ばれる現象です。換毛期は、動物が冬から夏へと季節が変わるのに合わせて、体温調節をするために起こります。
野生のヤギや羊は、人間が飼っている動物とは異なり、毛がずっと伸び続けるわけではありません。そのため、毛むくじゃらになって困るということはありません。
家畜の羊は、毛が抜けずに伸び続ける
一方、家畜の羊は、毛が抜けずにずっと伸び続けるように改良されています。これは、人間が羊毛を効率的に収穫するために、長い毛を持つ羊を選んで繁殖させてきたからです。
家畜の羊は、定期的に毛を刈ってあげないと、毛が重くて動けなくなってしまうこともあります。そのため、羊飼いは、年に1回程度、羊の毛を刈ります。
野生のヤギ・羊は毛を刈る必要がない
野生の羊は、毛を刈る必要がありません。なぜなら、彼らは自然に毛が生え変わって、古い毛が抜けていくからです。
しかし、人間が飼っている羊は、毛を刈ってあげないと、毛が重くて動けなくなってしまうこともあります。そのため、羊飼いは、年に1回程度、羊の毛を刈ります。
■羊毛は貴重な資源
羊毛は、衣服や布団などの材料として使われます。羊毛は、保温性が高く、肌触りが良いという特徴があります。
ヒツジの品種
ヒツジには、とてもたくさんの品種があります。その数は1,000をこえるといわれます。
ヒツジの品種はとても多く、その数は1000を超えるとも言われています。ヒツジがイヌについで古い家畜であること、祖先種が複数存在すること、飼養目的が毛・肉・乳・毛皮・糞（肥料）など多岐にわたっていることがその原因と考えられます。
日本ではヒツジの品種を毛用、肉用、乳用、毛皮用などの用途別に分類することが多いですが、実際には用途が兼用の場合が多くみられます。イギリスなど外国では丘陵種、山岳種など飼育に適した環境で分けたり、短毛種や長毛種、カーペット種など毛の特徴で分ける場合、またメリノー系やダウン系といった改良に用いられた品種で分ける場合などがあります。
家畜ヒツジの祖先種
ムフロン、アジアムフロン、アルガリから家畜ヒツジがつくられたと考えられています。
■ムフロン
地中海のコルシカ島とサルジニア島、キプロス島およびイラン西部に生息する小型の野生ヒツジです。サルジニアのムフロンはヨーロッパに放され、野生化しています。主要な家畜ヒツジの祖先種と考えられています。染色体は54本です。
■アジアムフロン
キプロス島、小アジア、イラン、アフガニスタンなどに分布している小型の野生のヒツジです。主要な家畜ヒツジの祖先種と考えられています。ムフロンと本種はごく近い種類でしばしば同一種とされます。染色体は54本です。
■アルガリ
アルタイ山脈、モンゴル、テンシャン山脈、チベット高原、ヒマラヤ山脈、パミール高原など山岳地帯に住む野生ヒツジです。野生ヒツジ中、最大の種で体高は120 cmに達します。家畜ヒツジのうち、脂臀羊、脂尾羊の祖先種と考えられています。染色体数は56本です。
ヒツジの進化
ヒツジの仲間は、草を食べるために４つの胃と丈夫な歯を持つようになり、群れの中で力くらべをするために角を大きく発達させました。また、寒いところで暮らせるように暖かい毛を持ち、険しい山を走り回れるように二つに分かれた蹄はとても丈夫になりました。
最も古い偶蹄目(ダイアコデキシス)は、始新世(5400万～3800万年前)の始めにか節目と呼ばれるグループから奇蹄目とともに分かれたと考えられています。ダイアコデキシスは5 kg以下と小型でした。始新世の後期に地球全体の気候が劇的に変わり、季節変動をするようになると、偶蹄目の身体の著しい増大がおこり、より繊維質の多い植物に対応した反芻亜目の祖先（アルケオメリックス）、次いで始新世末～漸新世(3800万～2600万年前)にウシ科の祖先種であるゲロクスが現れました。ゲロクスは上顎の切歯がなくなり、第２指と第５指が小さくなっていました。中新世(2600万～1000万年前)の気候変化は草原の拡大を促し、反芻する偶蹄類の爆発的な適応放散が起きました。中新世中期にユーラシアに現れたエオトラグスはゲロクスによく似ていますがウシ科の特徴である洞角を持っていました。このエオトラグスが全てのウシ科の祖先種と考えられており、ニルガイはその直系の子孫と考えられています。鮮新世(1000万～200万年前)の始めになるとヨーロッパとアジアに様々なグループが現れます。ヤギやヒツジの仲間にあたるオイオケロスやヒツジ属もこの時期に登場してきます。そして更新世の中期には、寒冷な気候への適応を完成させて山岳地帯に分布を広げ多様化しました。草を食べるグループは、補食の危険を減らす為に群れをつくるようになり、寒冷な高山地域に進出し、次第に体と角を大型化させました。氷河期の終わりにヒツジが現れ、氷河の後退した地域に広がり、氷河期の末期までには北アメリカと北アフリカに達しました。野生のヒツジは、死毛と呼ばれる直径100～140ミクロンの粗毛の下に直径15～20ミクロンの緬毛（冬毛）を持っています。この緬毛は春に抜け落ちます。
まとめ：野生のヤギ・羊｜毛を刈らないとどうなる？抜ける？換毛期は？
野生のヤギや羊は、自然に毛が抜けるので刈り取る必要がありません。春先になると、毛が抜け落ちて夏毛に生え変わります。これは彼らの本来の生態です。
一方で、家畜化されたヤギや羊は、毛を利用するために特化して改良された品種です。彼らの毛は自然に抜けずに伸び続けるため、定期的な毛刈りが必要です。刈り取らないと、毛が絡まってフェルト状になり、動くことができなくなるほどひどくなります。
例えば、有名なヒツジのシュレックくんは、６年間も毛刈りを受けずに放置された結果、毛が２７キロにも達しました。同様に、クリスくんというヒツジは４０キロ以上の毛を持っています。これは家畜のヒツジがどれだけ毛が伸び続けるかを示す例です。
家畜のヒツジは一生毛が伸び続けるため、定期的な毛刈りが必要です。一方、野生の羊は自然に毛が抜け落ちるので刈り取る必要がありません。
また、ヒツジは毛皮を利用すると一度きりですが、羊毛は何度も利用できます。そのため、羊毛を刈り取って利用することが一般的です。
野生のヒツジの柔らかく密集した冬毛は春先に抜け落ちて夏毛に生え変わります。しかし、羊毛用に改良されたヒツジは、この毛が抜け落ちることがなく、絶えず伸び続けます。これは人間が選択した改良の結果であり、毛が伸びすぎると動けなくなるほどの問題が生じます。
